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W杯のボールにはセンサー搭載 大会を支えるAI、コネクテッド技術とは

» 2022年11月24日 13時00分 公開
[谷井将人ITmedia]

 11月21日(日本時間)から開催中のサッカー「FIFA ワールドカップ カタール 2022」大会(W杯)で、日本代表がドイツ代表に白星を上げ、日本中が沸いている。そんな今大会では、AIとコネクテッド技術が試合のジャッジに活用されているのも注目ポイントだ。

photo ボールに搭載したセンサーがデータを送信

 FIFA(国際サッカー連盟)が今大会で導入している「半自動オフサイド判定技術」は、カメラとセンサーを使って選手やボールの位置関係やシュートした時間などのデータを基に、半自動的にオフサイドを見分けるというもの。

 スタジアムには選手の手足やボールの位置を認識するためのトラッキングカメラを12台設置。ボールにも「慣性計測センサー」という“仕掛け”がある。このセンサーでボールの状態を検知し、データをビデオ判定のオペレーションルームに送信している。

photo トラッキングカメラで選手の動きを取得

 この2つの仕組みを組合せて、データをAIに分析させることで自動的にオフサイドを判定。通知を受けたオペレーターが検証するシステムが半自動オフサイド判定技術だ。検証にかかる時間は数秒程度という。

 今大会では、主審・副審の他に「ビデオアシスタントレフェリー」(VAR)という映像を基に判断を下す審判がおり、同技術を使いながらオフサイドの判断などを行っている。最終判断は、人間が映像などを確認した上で下す。

 VARは開幕戦から点数に影響を与えた。カタール対エクアドルの試合で、今大会初ゴールになるとみられたシュートがオフサイド判定により取り消された。日本対ドイツ戦でもVARの判定によりドイツのゴールが取り消しになっている。

 カメラやセンサーのデータは試合の再現3D映像の合成にも使われている。今後の試合でも、判断の迅速化や見る人へのコンテンツ提供に役立ってくれそうだ。

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