スマートスピーカーにディスプレイを付けるという試みは、2017年米国で発売された「Echo Show 7」が最初となる。斜めに傾斜したスタイルや当時のプロモーションの様子をみると、どうもビデオ通話端末という位置付けであったようだ。この用途は、のちの「Echo Show 8」に引き継がれた。
先日のブラックフライデーで2980円で売られていた「Echo Show 5」のポジションは、明確であった。米国ではベッドサイドテーブルに、目覚まし時計兼用のラジオ端末が伝統的に置かれる。米国でホテルに泊まったことがある人には、おなじみであろう。要するに、あれの次世代バージョンである。ここには商機ありということで、2019年ごろにはGoogleアシスタントを搭載して、Amazon以外のメーカーもこのジャンルに参入した。
2021年にリニューアルした10インチの「Echo Show 10」は、意欲的なモデルだった。Echo Studioより少し小さい円筒形のスピーカーに、お面のように10インチディスプレイが貼り付いており、音質と画面クオリティーを両立させようとした苦労が偲ばれる。カメラでユーザーを追いかけて、ディスプレイが常に正面を向くというのも、ロボディクス的な方向性を感じさせた。
そして22年、画面サイズとしては最大の「Echo Show 15」が発売された。壁掛けを意識した額縁的なデザインとなっている。筆者宅でも導入したが、FireタブレットのようにAndroid的なOSを積んでいるわけではなく、拡張性としてはウィジットとして提供されているものに限られるため、できることはかなり限定的だった。
音楽再生として常用できるほどの音質でもなく、しょせんはスピーカー付きディスプレイなのだが、外部入力があるわけでもなく、壁に貼り付いてなんとなくお気に入りの写真を繰り返し表示するものでしかない。Amazonの商品を画面で選択できれば、買い物の手助けにもなったかもしれないが、そうした機能はない。Alexa搭載なので音声コマンドでは買い物できるが、そもそもモノを見ずに会話だけで買い物する度胸はこちらにはない。
スピーカーなら、電源が入っていることをあまり意識する機会もないが、ディスプレイがずっと点きっぱなしなので、限りなく無駄に電力を消費している感がある。そうした存在に耐えられないのか、気が付くと妻にコンセントを抜かれているという日々が続いていた。
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