プリペイドカード「バンドルカード」などを提供するフィンテックスタートアップのカンム(東京都渋谷区)が、2023年の3月をめどに三菱UFJ銀行(MUFG)の傘下に入る。財務面でMUFGの支援を受け、バンドルカード事業を強化するほか、MUFGのデビットカードに向けて後払い機能の研究開発を行う。
既存株主であるフリークアウト(東京都港区)などがMUFGに株式を売却する。時価総額は250億円、MUFGの株式取得金額は約160億円となる。MUFGは最終的に7割程度の株式を保有し、子会社化する予定だ。
社長の八巻渉氏など現経営陣は続投し、独立性を保った上で成長を目指すという。
カンムは11年の設立。21年12月期の業績は、売上高が38.9億円、当期純利益が0.8億円となっており、22年12月期の業績も堅調だ。MUFGの子会社となるが、引き続きIPOも有力な選択肢と位置づける。MUFGもサポートする方針だ。
バンドルカードは、スマホアプリからすぐに発行できるVisaブランドのバーチャルプリペイドカード。専用アプリは600万ダウンロードを超えた。またプラスチックカードも用意している。銀行口座などからチャージして利用できるだけでなく、アプリから残高をチャージし、チャージ代金はあとから返済する「後払いチャージ」機能が好調だ。
当初オリコとの提携を通じてカードを発行していたが、Visaカードの自社発行に切り替え、今後安定的に運営していくために資金ニーズが高まっていた。
「シナジーが見込める資本業務提携先を見つけることで事業を強化していきたいと考えていた」と八巻氏。
MUFGの傘下に入ることで財務基盤を強化するとともに、MUFGの顧客基盤3400万人からの送客も実施する。さらに決済データを活用した新領域にMUFGと取り組む。MUFGが強化しているデビットカードに、バンドルカードで培った後払い機能を搭載する取り組みがその一つだ。こちらはMUFGと共同で外販も検討し、さらには海外への展開も目指す。
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