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「My電気」がある世界 折りたたみソーラーとポータブルバッテリーで電気を調達して分かったこと小寺信良の「IT大作戦」(1/3 ページ)

» 2023年01月13日 16時30分 公開
[小寺信良ITmedia]

 11月末のブラックフライデーからクリスマスセール、そして初売りセールまで延々とセールが続き、いろんなガジェットが安くなるシーズンである。そんな中、ここのところセール品でよく目にするようになったのが、ポータブルバッテリーである。

 モバイルバッテリーはせいぜいUSB電源が出せるだけだが、ポータブルバッテリーはもっと大型で、ACコンセントを装備し、小さいもので300Wから500W、大きなものでは1000Wとか出せる製品もある。通常のコンセントで使う電器製品が使えることから、ソロキャンプや車中泊といったブームに後押しされて、人気が高まっているようだ。

 価格は容量次第ではあるものの、バリエーションの幅が広がり、小さいものなら2万円台で買えるようになったのは大きい。参入メーカーも増えた。日本ではJackeryやECOFLOWといった専門メーカーがよく知られているが、モバイルバッテリー勢からはANKERやAUKEYも参入し、選択肢を広げている。Jackeryは元Appleの、ECOFLOWは元DJIのバッテリーエンジニアが創業メンバーとなっており、実はITに近い文脈の製品である。

プチ電気生産者へクラスチェンジ

 筆者も昨年末のセール中にECOFLOWのRiver 2と110Wソーラーパネルを購入し、ほぼ毎日家庭で「My電気」を生産している。

ベランダでMy電気生産中
River 2に蓄電

 最初は昼間に発電して、夜間にスマホやモバイルバッテリーを充電していたのだが、それだけでは電力が余る事がわかった。そもそも外出しなければモバイルバッテリーが空になることもないわけだから、スマホ2〜3台充電するぐらいなら全然余る。

 そこで、日中仕事で使っている機器の電力をこの「My電気」で賄えないかと考えるようになった。普段執筆で使っている機器は、M1 MacBook Airと東芝時代のREGZA 4Kテレビをベースに、LEDのデスクライトや、場合によってはBGM用にオーディオ機器を動かす事もある。

 ECOFLOW River 2は最大300W出力できるが、容量が256Whしかないので、全力で出すと1時間足らずで空になる。一方仕事で使う電力は、少なくて80W、多くて120Wぐらいである。だいたい2〜3時間ぐらいというところだろうか。

 もちろんそれぐらいでは全然仕事は終わらないわけだが、ここにソーラーパネルを組み合わせると話が違ってくる。ベランダに出したソーラーパネルで発電が始まるのが、だいたい9時半ごろだ。筆者宅は東側の角部屋なので、ベランダの角に排水用の配管があり、早い時間帯はその影がパネルにかかってしまうため、あまり発電できないのである。

 ただそこから午後2時半ぐらいまでは100W前後で発電できる。以前のソーラーパネルは、結構条件を整えても定格の7割ぐらいしか発電できないイメージがあった。だが最近はパネルの性能が上がったのか、あるいは定格表示が厳しくなったのか分からないが、かなり定格に近い出力が出せるようになっている。

 これなら消費電力が110Wあっても、一定時間はソーラーパネルで100W発電してくるので、その差10Wをバッテリーから出す、というコンビネーションで動いている事になる。言葉では分かりにくいので簡単に図化しておく。青部分がバッテリー残量、黄色い部分が発電量のイメージだ。

1日の利用イメージ

 午前9時から始業して電気を使っていくわけだが、そこからソーラーパネルも徐々に発電していくので、100W程度使ってもバッテリー残量の減りはなだらかである。お昼ごろには60%ぐらいまで減るが、休憩時はバッテリーを使わないので、その間はソーラーパネルからの充電オンリーとなる。これで午後の始業開始までには80%ぐらいまで残量がもち直す。そこから発電もしつつ電力を使っていくと、だいたい午後4時半から午後5時ぐらいでカラになってしまうので、そこからは家庭用電源につないでまたフル充電まで戻していく。

 もちろんこれはバッチリ晴れているときの話で、曇りや雨天の場合は普通に家庭用電源を使用する事になる。

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