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「My電気」がある世界 折りたたみソーラーとポータブルバッテリーで電気を調達して分かったこと小寺信良の「IT大作戦」(2/3 ページ)

» 2023年01月13日 16時30分 公開
[小寺信良ITmedia]

キーは「リン酸鉄リチウムイオン」

 そんなに毎日細かく充放電していたら、バッテリーの劣化が早まるのではないかと思われるかもしれない。従来こうしたポータブルバッテリーに使用されてきた三元系やコバルト系、ニッケル系のリチウムイオンバッテリーは、充放電サイクルが500〜800回程度といわれてきた。例えば充放電サイクルが500回の場合、毎日充放電すると1年半程度で寿命が来ることになる。それぐらいだと、週に1回レジャーで使うとか、災害時に備えて単に置いておくといった使い方になる。

 だが2021年ごろから徐々に、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーに変わってきている。ECOFLOWの「River 2シリーズ」も、以前のRiver 2verシリーズとの最大の違いは、この採用バッテリーの違いである。

 リン酸鉄リチウムイオンの特徴は、600度まで熱分解が起こらないという安全性の高さにあるが、もう1つの特徴は充放電サイクルへの耐性である。一般的には2000回以上、River 2では約3000回の充放電サイクルを実現している。従来製品の6倍だ。

 3000回もあれば、毎日充放電しても8年ぐらい使える事になる。IT機器として見れば、さすがに8年も使えれば十分だろう。個人的には5年使えれば十分だと考えている。今までポータブルバッテリーを日常使いしましょうといった提案はあまり見かけないところだが、毎日充放電してもお釣りが来る、しかも日中天気が良ければ発電もできるとなると、当然その使い方や、バッテリーに対する考え方も変わってくる。

 筆者の車は普通のガソリン車なので、ご近所ワーケーションとして浜辺や公園に出かけていっても、車からAC電源をとって何かを動かすということはできない。だがソーラーパネルを公園に展開して、発電しながら仕事するといった使い方が可能になる。冬場はあまりやりたくないが、春頃のワーケーションは、なかなか気持ちよくできそうだ。

 細かい移動が多い場合、ソーラーパネルを展開して充電している時間がとれないこともある。だがRiver 2はAC電源から、ほぼ1時間でフル充電できる。ネットカフェに1時間だけ入店し、お昼休憩がてらマンガでも読みながら充電して、次へ移動するといったこともできる。

 車移動が長いなら、シガーソケットから充電するのもアリだろう。目的地について車から離れても、潤沢なMy電源を利用する事ができる。

 キャンプや車中泊で利用する場合は、調理家電を動かそうという話になりがちがので、ポータブルバッテリーに大出力を求める傾向がある。だがワーケーションやリモートワークという話なら、そこまで大出力にこだわる必要はない。IT機器はほとんどバッテリーを搭載しているし、冷暖房機器もせいぜいヒーターベストやUSBで動くパネルヒーター、扇風機などが動けば十分快適なので、300W程度でも事足りる。あとはサイズと容量と重量のバランスで考えればいいという事になる。

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