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有能な秘書か、大ぼら吹きか 「ChatGPT」をスプレッドシートで使えるアドオンを試してみた(1/3 ページ)

» 2023年01月27日 19時57分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 話題のAIチャットボット「ChatGPT」だが、普通の人にはまだちょっと身近にはなっていない。またAIとやりとりしても「AIと会話できるのは分かった。すごいけど、だから何?」と感じる人もいる。しかし、ビジネスツールであるスプレッドシートからChatGPTが呼び出せると、景色はちょっと変わる。

 新人に「このリストを調べて埋めておいて!」と依頼するような感じで、AIにちょっとした調べ物や、データづくり、問題づくりなどをさせられるようになる。UIは慣れ親しんだスプレッドシートで、依頼の文字を変更すれば自動的に内容が書き換わる。

こんなリストをChatGPTを使えばAIが埋めてくれる(これは実際にChatGPT in Google Sheets and Docsを使って自動入力させたもの)

 先日、Twitterでも「『ChatGPT』×『スプレッドシート』でビジネスに革命が。たった数分の設定でリサーチ工数がほぼゼロに。行列の見出しを入力するだけで、自動で無限に欲しい情報が手に入る」というツイートが話題になっていた。

GoogleスプレッドシートからGPTが利用できるアドオン「ChatGPT in Google Sheets and Docs」

 先のツイートと同じように、GoogleスプレッドシートからGPTが利用できるアドオンが「ChatGPT in Google Sheets and Docs」だ。

GoogleスプレッドシートからGPTが利用できるアドオンが「ChatGPT in Google Sheets and Docs」

 これを使うと、セルに社名を入れるだけで、何年創業で社員数が何人で売上高がどれくらいか、事業内容は何か? といった項目をAIが(一応)埋めてくれる。セルの質問内容を変えれば、数秒でAIが答えを書き直す。まるで超有能な秘書のようだ。

 ただ使ってみると限界もいろいろと見えてくる。「社長の名前を簡潔に」と聞くと、次のようになる。Teslaのイーロン・マスク氏はいいとして、ほかの会社の社長はどこから来た? という感じだ。

企業名 「社長の名前を簡潔に」
ソニー 村田良喜
日本マイクロソフト 田中秀樹
トヨタ自動車 田中正憲
Tesla イーロン・マスク

 続いて住所を聞いてみる。うーん。ソニーグループはともかく日本マイクロソフトとトヨタはどうもおかしい。東京本社でもなく、いったいどこから持ってきた?

企業名 住所
ソニーグループ Sony Group Corporation 1-7-1 Konan, Minato-ku, Tokyo 108-0075, Japan
日本マイクロソフト 〒105-0001 東京都港区赤坂1-5-2赤坂サカス内
トヨタ自動車 〒106-8552 東京都港区芝公園3-3-1
Tesla お客様の住所をお知らせください。

 そんなわけで、ChatGPTはどんな問題にも答えてくれる秘書ではあるが、よく知らない問題にも平気でウソをつく知ったかぶりの秘書でもある。これは間違わないだろうという質問にも平気で誤った答えを返してくるので、そこが最大の問題だ。

 一方で、AIだけあって数字周りは流石に強い……。と思い込んでいたのだが、意外なことにそうでもなかった。下記は、数字のリストを渡して「次を平均して」と依頼したものだ。

数字には強いと思ったら、数字も捏造していた

 なんとなくそれっぽい数字を出してくるが、微妙に違っているのが厳しい。さらに、「次の数値の平均値を計算して」など問いを変えると、違う数字が返ってくる。ほんと、それっぽいウソをつかせたら一級品だ。現時点の使い方として、正確さというよりももっともらしい文章や数字をでっち上げるのに最適だと思っておいたほうがいい。

ChatGPT in Google Sheets and Docsの使い方

 では、ChatGPT in Google Sheets and Docsの使い方を解説しよう。

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