富士通は2月6日、「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」を提供すると発表した。同社のブロックチェーン技術やデジタルトラスト技術を盛り込んだプラットフォームで、同社の共創プログラムに参画し、Web3の新サービス企画や実証実験を予定している国内外のパートナーを対象に無償提供を開始するという。
同プラットフォームは、富士通が開発した分散型データ流通と、デジタルIDやデータの真正性を証明するデータウォレットを組み合わせた「IDYX」に加え、ブロックチェーンを応用した台帳データベース「Chain Data Lineage」(CDL)を土台とする。富士通は、スパコン「富岳」にも採用された同社のHPC技術やデジタルアニーラを「CaaS」(Computing as a Service)として提供しており、IDYXとCDLで構成されたセキュアなデータ流通機能「Data e-TRUST」をCaaS上で提供する。
富士通ならではの特徴としては、Data e-TRUST以外にも、HPCやデジタルアニーラといったコンピューティング機能自体もAPIとして提供。信頼性が担保されたデータをもとに、高度なシミュレーションや組合せ最適化技術をプラットフォーム上で稼働するアプリが利用できるとしている。
Web3といっても、富士通がアプリケーションレイヤーでサービスを提供するのではなく、あくまでも基盤に特化。同社のグローバルパートナー共創プラグラム「Fujitsu Accelerator Program for CaaS」の参加企業のうち、Web3サービスの企画から実証実験までを行うパートナー向けにプラットフォームを無償提供する。
このため、富士通はコミュニティ活動の支援にも回る。共創パートナーとともに、分散型自立組織(DAO)による共創社会の実現、デジタルコンテンツの権利管理と利活用、デジタルトラストの実現を軸に、DAOポータルによるコミュニティ立ち上げ支援、サンプルUI/開発ツールの整備、グローバルでの企画開発コンテスト(TopCoder運営)でのユースケースのアイデア出し創出なども手掛ける。また、パートナーからの意見を取り入れ、プラットフォームの改善も図っていく。
まず、Data e-TRUSTを国内は2023年3月、海外は23年度以降、順次提供を開始。富士通研究所で開発している「透過的トラスト」や、パブリックチェーンなど他のチェーンとの接続を実現する「コネクションチェーン」(今回のWeb3プラットフォームはコンソーシアム型チェーン)についても、国内は23年度中、海外は23年度以降に提供する予定だ。
Web3プラットフォームは他社からも登場しているが、富士通がキーにするのは「信頼」だ。同社は以前からブロックチェーン関連技術を研究しているが、世界中のステークホルダーに同社の技術を使ってもらうよう、データ流通の各要素技術をパッケージ化してサービスに落とし込んだものが今回のプラットフォームである。例えば、日々増していく地政学リスクに悩む企業が、高度なシミュレーションを使って予測し、Web3プラットフォーム上で新たなサプライチェーン、バリューチェーンを構築する……といった使い方も想定しているようだ。
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