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» 2023年03月02日 16時16分 公開

Akamaiが“3大クラウド”に殴り込み パブリッククラウドで「もう一つの選択肢に」

クラウドコンピューティング事業への参入を発表したAkamai。強大なライバルが存在するにもかかわらず、今から参入する理由は。CEOが今後の勝機を語った。

[吉川大貴ITmedia]

 2月14日に「Akamai Connected Cloud」を発表し、クラウドコンピューティング事業への参入を発表した米Akamai Technologies。同社が2022年に買収したIaaSベンダーの米Linodeが持つリソースを活用したもので、世界各地に機能が異なるリージョンを分散配置することから、低遅延なサービスを提供できる点が特徴という。

photo トム・レイトンCEO

 とはいえ、パブリッククラウドはいわゆる「ハイパースケーラー」、例えばAWSやAzure、Google Cloudといった“3大クラウド”などがシェアを占めている状態だ。Akamaiのトム・レイトンCEOも、3月2日の事業戦略発表会で「ハイパースケーラーの方がキャパシティー・スケールを持っている」と話す。にもかかわらず、今からパブリッククラウドに挑戦するのはなぜか。

特徴は「分散」、IoTやコネクティッドカーなどで利用見込む

 Akamai Connected Cloudは、(1)同社がCDNサービスの提供に使っている世界4200カ所の「エッジサイト」、(2)同社が提供する全てのコンピューティングサービスが使える「コアサイト」、(3)仮想マシンやストレージなど、一部機能のみを使える「分散型サイト」──をユーザーが組み合わせて利用できるクラウドサービスだ。コンピューティングと合わせてAkamaiのCDNやセキュリティサービスが使える点が特徴という。エッジサイトでJavaScriptのコードを動かすことも可能としている。

 コアサイトの数は3月2日時点で全世界11カ所。今後、2023年内に24カ所まで増やす予定だ。国内では東京に開設済みで、今後大阪にも展開する予定。分散型サイトはハイパースケーラーが対応できていない地域を中心に、2023年内に50カ所まで拡大する計画だ。

 想定される用途としては、IoTアプリケーション、コネクティッドカー、センシング、メタバース、ゲームなどを挙げた。デバイスの数が多く、低遅延なことが求められるサービスでの利用を見込むという。

「もう一つのオルタナティブな選択肢に」 CEOが見込む勝算は

 レイトンCEOによれば、Akamai Connected Cloudの優位性はレイテンシの低さにあるという。3種の拠点を分散配置することで、エンドユーザーにより近い距離でのコンピューティングが可能になることから「パフォーマンスを最重要視するアプリケーションであればAkamai Connected Cloudの利用が理にかなっている」と意気込む。

 このタイミングで参入を決めた背景としては「世界がエッジ・クラウドに対する準備する前、AWSができる20年以上も前から、Akamaiはエッジのビジネス市場にいた。そして世界では今、エッジ・クラウドに対する準備が整っている。特にメディアなどユーザーから近い距離で処理がしたいというニーズが増えており、われわれとしては今こそが適切と判断した。もう一つのオルタナティブな選択肢になれると考えている」(レイトンCEO)

photo 日本国内におけるCDN、セキュリティ、コンピューティングの成長の推移

 今後、Akamaiがクラウドコンピューティング事業に注力していく方針も示した。「われわれがビジネスを始めた25年前は、CDNが最大のプロダクトだった。しかし今年、セキュリティがそれに取って代わりつつある。クラウドは市場が大きく、成長のスピードも早い。今後5〜10年を見据えると、コンピュートが最大の柱になっているのではないか」(レイトンCEO)

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