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映像配信、カメラ以外は“ハードいらず”に? 放送機材を軒並みソフトウェアにした「AMPP」の衝撃小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(1/3 ページ)

» 2023年03月17日 15時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 放送局レベルの映像機器が作れるメーカーは、限られている。日本ではソニー、パナソニックをはじめ、朋栄、池上通信機などがそれぞれの強みを生かしてすみ分けしており、合併吸収の話はほとんど聴かない。

 一方ワールドワイドでは、多くの放送機器メーカーが立ちあがっては合併したり吸収されたりといった動きが激しい。米国の老舗放送機器メーカー、GlassValleyもかなり紆余曲折のあるメーカーだ。最初はGlass Valley Groupという独立メーカーだったが、米Tectronixに買収されたり仏Tomsonに買収されたり、はたまた米ケーブルメーカーのBeldenに買収されたりと、親会社がどんどん変わった。現在は米国の投資ファンド「ブラックドラゴンキャピタル」が親会社となっている。

 ただその間もブランド名と中核事業のスイッチャーだけは残り続けた。また他社の合併吸収も盛んで、日本に関係するところでは、2007年にカノープスを傘下に収めており、現在も神戸がソフトウェア開発拠点の1つとなっている。さらにPhillipsのプロ機部門、マルチ画面装置の大手Miranda、ペイントボックスなどで知られたQuantel、スイッチャー大手のSnell Advanced Media(SAM, 旧Snell & Wilcox)を買収し、吸収している。

 もともとGlassValleyは、ライブスイッチャーを中心とするハードウェアメーカーである。ただIP化の動きは早く、2017年にはすでに内部までフルIP処理のハイエンドスイッチャー「K-Frame X」をリリースしている。

Inter BEE 2017にて展示されたK-Frame X

 そこからたった2年で、同社ハードウェアのほとんどをソフトウェア化したIPプラットフォーム「AMPP」を発表した。ハイエンドスイッチャーのK-Frame Xも、もちろんソフトウェア化されている。

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