絵画や本、音楽といったコンテンツの著作権登録を管轄する米国の政府機関・著作権局は3月16日、AIで生成した画像の著作権登録についてのガイドラインを発表した。
AIが自動生成したコンテンツは原則、著作権が認められないが、AIと人間が協働したコンテンツで、人間の創造力が反映された部分には著作権の保護が及ぶとし、登録申請の際に「AIが自動生成した部分」と「人間が創作した部分」を分けて明記するよう求めている。
米国の著作権法は日本と異なる。日本では、著作物が創作された時点で自動的に著作権が発生し、著作権が侵害された場合に訴訟を提起できる。米国でも著作権は創作時点で発生するが、著作権侵害訴訟を起こすには著作権局への登録が必要だ。
米国では、AI画像自動生成サービス「Midjourney」を使って作られた漫画の著作権登録を、同局が取り消そうとする騒動があり、議論になっていた。
16日に発表されたガイドラインによると、米国の憲法や著作権法では、「著作者は人間」と明記されており、判例などもそれを支持しているという。このため、AIが創作に関わったコンテンツの著作権登録を認めるかどうかは、「人間の創造性が含まれている」かが判断基準になるという。
具体的には、AIが創作に関わったコンテンツをと「AIが生成した部分」と「人間が創作した部分」に分け、前者は著作権の対象外だが、後者は対象になる。AIが生成した素材を人間が選んだり編集したり改変した場合は、その部分だけが著作権の対象になるという。
著作権登録申請書には、AIが生成した素材の有無と、人間の創造性がどう関わったかを明記する必要があるという。AIを使って創作し、既に登録した作品についても、AIによる自動生成について記載されていない場合は、内容を訂正して追加登録する必要があるとしている。
同局は以前から、AI生成コンテンツの登録申請を受けており、2018年には、アルゴリズムが自動生成したビジュアル作品について、「人間の著作者が含まれていない」として請を却下した。今回の声明の発端となった、人間書いた文章とMidjorneyが生成した画像を組み合わせた漫画「Zarya of the Dawn」については「漫画全体の著作権は認めるが、個々の画像は著作権で保護できない」と結論付けたという。
著作権局は今後も、AIと著作権に関する新しい問題が発生した場合、状況に応じた方針を発表するという。
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