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ネット専用投信「Tracers オールカントリー」、eMAXIS Slim“オルカン”の約半分のコストで登場

» 2023年04月11日 09時59分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 日興アセットマネジメントは4月26日から、ネット販売専用の投資信託「Tracers MSCI オール・カントリー・インデックス(全世界株式)」の運用を開始する。10日に提出した有価証券届出書で明らかになった。

これまで最低コストだった“オルカン”の約半分のコストで登場するTracersオールカントリー。ただし「その他コスト」として、「利用する指数の標章使用料」などが記載されており、いわゆる“隠れコスト”がどのくらいになるかが注目される

 最大の特徴は0.05775%という信託報酬の低さだ。全世界の株式に投資するインデックス型投信では、三菱UFJ国際投信が運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」が0.11325%(引き下げは5月11日から)で最も低かった。Tracersオールカントリーは、従来の最低コストの半分近いコストで登場することになる。

 販売会社は、有価証券届出書によるとSBI証券の名前があがっている。

ネット証券専用 低コスト化で各社が激戦

 近年、つみたてNISAやネット証券の普及によって、インデックス投信への投資額が加速している。トップのeMAXIS Slimシリーズは、年間の純設定額(購入額から解約額を引いたもの)は1兆4525億円と、ETFを除く国内公募投信全体の17.5%を占めるに至っている。

 差別化要因は、徹底した低コストだ。ネット証券専用商品とし、対面証券会社で取り扱わないことでコストを抑えた。

 eMAXIS Slimシリーズの快走を背景に、運用各社は続々とコストの低下を進めている。最も人気の高い米国株式インデックス「S&P500」に投資する投信だけでなく、全世界株式インデックスに投資する投信でも、コストの引き下げが相次いだ。

全世界株式インデックス投信における、コスト比較

 アセットマネジメントOneの「たわらノーロード 全世界株式」が、4月7日に信託報酬を0.1133%に引き下げると、eMAXIS Slim全世界株式も5月11日から0.11325%(実質)に引き下げることを発表し、対抗した。今回、Tracers オールカントリーがそれを大きく下回る低コストで登場することで、“業界最低水準の運用コストを目指す”ことをうたっているeMAXIS Slimが、対抗値下げするかどうかに注目が集まっている。

→対抗値下げしないことを明らかに。eMAXIS Slim”オルカン“、Tracers対抗の信託報酬引き下げは行わず 「公正な比較対象とならない」

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