ITmedia NEWS > 社会とIT >

新潟県データ10万件消失事故 拡張子を小文字にしたかったのはなぜか 県に聞いた

» 2023年04月24日 16時40分 公開
[谷井将人ITmedia]

 新潟県で4月9日、公文書管理システムに登録した公文書データ約10万件が消失する事故が発生した。県によると、システム保守を担当していた事業者が、ファイルの拡張子を小文字にする新機能を追加したことが事故の一因という。なぜこのような機能を追加することになったのか県に聞いた。

photo 新潟県庁舎

 県は富士電機ITソリューション(東京都千代田区)が開発・保守を担う公文書管理システムを使用している。同システムには不要なファイルを削除するプログラムがあるが、新機能の適用で拡張子を変更されたファイルが同プログラムの削除基準に合致してしまい、10万3389件のデータが意図せず消失したという。

 消失の影響は現在調査中だが、県によると消失したファイルはすでに処理が完了したものであり、直ちに県民や関連業者に大きな影響が出るものではないとしている。

photo データ消失の経緯

なぜ拡張子を小文字にしたかったのか

 では、なぜ拡張子を小文字にしたかったのか。

 県では、データの集計作業のためにマクロ付のExcelを使用しているという。このマクロは拡張子が小文字でないと正常に動作しない仕様だった。一方、公文書管理システムの仕様では拡張子を大文字とするのが標準になっている。

 県は富士電機ITソリューションズに対し「拡張子が大文字なのは仕様なのか」という趣旨の質問をしたという。最終的には拡張子を小文字に変更することになり、結果としてファイルが消去された。拡張子を小文字にする機能を実際にリクエストしたのかITmedia NEWSが県に尋ねたところ、「仕様を尋ねたのは確かだが、改修をお願いしたかは確認中」との回答があった。

 では、なぜ拡張子の変更でデータ削除が起きたのか。県によると、データ削除プログラムは、登録されたファイルのリストを参照してリストにないファイルを削除する仕組みだという。新機能により拡張子が変換されたことで、該当ファイルの名前がリストに記載されていないことになり、10万件のデータが削除されたとしている。

バックアップ期間はなぜ3日間だったのか

 今回の事故では、バックアップ期間の短さも問題視されている。県によると、公文書管理システムのバックアップ期間は3日間。これは県と富士電機ITソリューションとの間で合意された内容という。

 TwitterなどSNS上では「コストの関係で短く設定したのではないか」との指摘もあるが、バックアップ期間を3日間に定めた理由については「不明」(新潟県)としている。

なぜテストや審査などをせず機能追加を行ったのか

 県は、富士電機ITソリューションにおいて今回の新機能が運用テストや社内審査、バージョン管理など必要な手続きを踏まずに適用されたと説明している。また、開発担当者と運用担当者の間で機能の適用について情報共有が適切になされなかったため、事故発覚後の対応が遅れたとも指摘している。

 なぜ必要な手続きをせずに機能が適用されたか、適切な情報共有がされなかったかについては、現在も富士電機ITソリューションが調査中で、詳細はいまだ不明という。

 また、新機能の追加作業が行われたのは富士電機ITソリューションなのか、下請け業者が存在し、そちらで作業が行われたのかとの質問に対しては「富士電機ITソリューションでやられたと聞いている」(新潟県)としている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.