AIが制作したコンテンツは法の保護の対象になるのか。
日本を含む各国で議論が続いているが、中国では最近、バーチャルヒューマンを制作した企業が、その動画を勝手に編集して宣伝目的で使用した企業を訴えた訴訟の判決が下され、「バーチャルヒューマンの知的財産権を巡る初めての判決」として注目を集めている。
着目すべきは、人の代わりに商品を宣伝したり接客をするバーチャルヒューマンが、著作権法の保護を受ける「人間」と同等の存在なのか、その位置付けにまで踏み込んで定義した点だ。
上海のAIスタートアップ「魔●科技(●は王へんに去、以下、Xmov)」は19年10月、AIを駆使して制作したバーチャルヒューマン「Ada」をリリース。Adaの応用シーンを紹介する動画と、Adaを動かすための人間の徐(Xu)氏によるモーションキャプチャの動画を公開した。
杭州のIT企業B社は22年7月、Xmovが制作した2本の動画の最初と最後に示されたロゴを自社のものに差し替えた上で、自社が提供するバーチャルヒューマン関連講座の宣伝情報を加え、中国版TikTok「抖音(Douyin)」で配信した。
XmovはB社を相手取り、動画の削除や損害賠償を求める訴えを杭州インターネット法院に起こした。17年に設立された同法院は、ネットの普及を背景に主に知的財産を巡る紛争を解決する全国最初の裁判所として知られる。
B社は、Xmovの公開した動画が法律で保護される権利を有しておらず、かつXmovが動画の公開によって収益を得ていないことから、権利侵害に当たらないと主張した。
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