そうはいってもなお海賊版は多数ある。安価な劣化印刷版の海賊版書籍は(宋の時代から続くと言われ)未だ流通し問題になっているし、オンラインコンテンツに目を向ければ映画スラムダンクの海賊版が公開されるし、オンラインゲームのプライベートサーバーもあれば、ゲーム機のインディーズゲームをスマートフォン向けにそれっぽいものを開発した勝手移殖もある。
人気の日本のテレビ番組はビリビリにアップロードされるし、西洋のマイナーな映画も通称「字幕組」と呼ばれる有志により、字幕がつけられ勝手にアップロードされる。海賊版で一儲けしようとする業者は変わらずいて、儲けるためにアップロードの手口を巧妙化している。
海賊版を利用する人は変わらず利用する。しかし正規版コンテンツでしか楽しめないゲームは増え、スマートフォンやスマートテレビでの動画アプリやゲームアプリなど各種アプリにより正規版コンテンツを簡単に利用できるようになり、逆に海賊版利用は面倒くさくなった。
課金額も所得に比べれば大したことがない額にまで下がり、「ドラえもん」 「名探偵コナン」「ワンピース」「千と千尋の神隠し」「スラムダンク」といった映画で動員数が記録的に増えていった。加えてクローズなファンコミュの中で「クリエイターに金を払うのが次につながるための礼儀」だというモラルがシェアされるようになり、海賊版利用者を叱るネット空間ができあがっていた。
中国人の多くが海賊版を利用するだけでなくコンテンツにお金も落とすようになり、正規版を消費した人々が拡散し、あるいは世界のゲーム大会で台頭するようになった。正直20年前には想像もしていなかった世界だ。
世界に目を広げれば日本コンテンツが受けたマンガやアニメの海賊版被害額は約2兆円だという。他の国も中国同様変わるかといえば、正規版が海賊版以上に入手しやすくなることや、ファンの中でのモラル向上、それに(善悪はさておき)ネットの厳格管理が必要だろう。
“コンテンツは無料”に慣れきっている中国人 人気の日本発アニメ・コミック
マンガやアニメの海賊版被害は約2兆円、コロナ禍で5倍に CODA推計
日本人向け最大級のアニメ海賊版サイト「B9GOOD」中国で摘発 9割以上が日本からアクセス
海賊版ゲーム販売の男性、著作権法違反の疑いで逮捕 「信長の野望」「三国志」など出品
2回観たけどまだ観たい! 劇場版「スラムダンク」にドハマりしたマンガ家の感想Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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