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ちょうどいい案件管理ツール boardSaaS対決特別編(2/3 ページ)

» 2023年05月22日 12時38分 公開
[武内俊介ITmedia]

クラウド請求書作成ソフト board

 boardは、ヴェルク(代表・田向祐介氏)によって14年にリリースされたクラウド請求書発行ツールである。メインターゲットはSFA・CRMを使うほどではないが、単純な見積・請求だけの機能では物足りない中小企業だ。

 SFA・CRMは受注までの商談管理、活動管理などが主な機能であり、見積書や請求書の発行は、その過程で作成されるサブ機能である。営業担当者が10人以上もいるような企業では必要なサービスではあるが、営業窓口が数名の企業では高価なCRM/SFAの機能は使いどころが少ない。一方で、Misocaのようなシンプルな請求書発行ツールもしくはExcelでは、請求書を発行する際の作業負荷が重く、月20件を超えたあたりからかなりしんどくなり、ミスも発生し始める。

 この隙間を埋めるために開発されたのがboardである。

最大の特徴、案件ごとの管理

 boardの最大の特徴は、「案件」ごとの管理ができる点にある。ここでいう「案件」とは、1つの契約や受注を示すもので、そこにひも付く見積書、発注書、検収書、請求書などのあらゆる書類をboardでは「案件」単位でまとめて管理できる。請求書発行ツールでは見積書から請求書への変換などはできるものの、その見積書と請求書が1つの「案件」として管理されているわけではない。この「案件」という管理単位はSFA・CRMで用いられるものであり、boardは他の請求書発行ツールよりも高度な機能を備えている。

納品書や研修書、請求書のデータは案件ごとに管理される(boardのWebサイトより抜粋)

 見積から案件受注までが長期化したり、数十件が同時並行で走るようになった中小企業にとって、この「案件」ごとの管理はなくてはならない機能だ。

 「案件」管理をすることによって、士業などに多い年間契約だが毎月請求書を発行するようなケースは非常に対応がしやすくなる。見積書、発注書などは1枚で12カ月分の料金を記載しつつ、請求書の設定を「毎月請求」にするだけで自動的に月別の12個の請求書を作成してくれる。board上では案件一覧と請求一覧は別々に用意されており、受注後は毎月請求一覧を見て発行ボタンを押すだけなので、漏れがない。多くの請求書発行ツールが前月分の請求書をコピーすることで毎月請求に対応している中で、非常に優れた機能である。

 boardでは合算請求機能も用意されている。毎月請求する定額料金とは別のオプション課金などが発生した場合は別案件として作成し、すでに作成済みの請求書と合算すれば、1枚で定額料金とオプション料金を請求することも可能だ。すでに作成済みの案件及び請求書を編集する必要がないため、ミスも発生しにくい。また、分割請求機能も用意されており、着手金を請求して、納品後に残額を請求するなどのケースにも簡単に対応することもできる。

 一方で、SFAにある「リード管理」(見込顧客を管理する機能)や「活動管理」(電話やアポイントなどの活動を管理する機能)はboardには用意されていない。そういう意味ではboardはSFAではなく、あくまでも請求書管理ツールだ。

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