先週のアクセス1位の記事は、集英社がAI生成画像で作ったグラビア写真集「生まれたて。」(電子書籍、499円)の紹介記事だった。
「週刊プレイボーイ」編集部が生成した「さつきあい」という“妹系美少女”の“写真集”。人間のグラビアも手掛ける大手出版社から出たこともあり、大きな話題を集めた。そこで、筆者も買って見てみた。
さつきあいはじゅうぶんに可愛く、スタイルも抜群なのだが、人間のグラビアと比べると物足りなさがある。
まず、表情のバリエーションが少ない。正面を向いた顔がほとんどで、微笑んでいるか真顔が多いのだが、その表情に物語を感じないというか、何を考えているか分からないような顔だ。もちろん、何も考えていない。
構図は「画面のド真ん中に、ドーンといる」ものがほとんどで、ページをめくっても変化が少ない。
反面、AIモデルだからこそ、という絵も目立った。例えば、露出の高い服で電車に乗る写真。リアルでやろうとすると、グラビアに理解のある鉄道会社から撮影許可を得て、ロケを計画して天気を計算して……などの準備が必要だが、AIモデルならプロンプトを作るだけでパッと実現できてしまう。
雪景色の中、半袖の薄着で微笑んでいる写真もAIならではだと感じた。実在のモデルだと「寒そうで気の毒……」と思ってしまうが、AIと分かっているから安心して見られる。
AIモデルの登場で、人間のモデルの仕事が奪われる、という論調もある。だが、人間にできることとAIにできることは、かぶらない面も多い。AIの登場によって人間のモデルの仕事環境がより良くなったり、表現がより深くなったりしていく可能性もあるのではないか――そんなことも感じた。
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