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再び増える「市場連動型」電力プラン 取引価格は大きく下落もリスク説明は十分か?(1/3 ページ)

» 2023年06月15日 14時10分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 一般家庭向けの「市場連動型」電力プランの発表や受付再開が相次いでいる。直近の6月だけでも「ワタミエナジー」「しろくま電力(ぱわー)」が新規参入し、「マネーフォワード でんき」(シン・エナジーが提供)が新規受付を再開。「ソフトバンクでんき」は6月1日使用分から複数のエリアで市場連動型に移行した。

JEPXの取引価格は各エリアで年明けから大きく下がっている

 市場連動型プランは、2016年の電力自由化によって登場した料金プランの1つで、卸電力市場「JEPX」の市場価格に連動して従量料金が決まる。それが増えている理由の1つは、JEPXの取引価格が年明けから大きく値下がりしていることだろう。

 大手電力会社の規制料金値上げをよそに、JEPXの取引価格は1月に平均20円/kWhを切り、3月には10円/kWh前後まで下落。4月以降はエリアによって差もあるが、5〜9円台/kWhで推移している。30分ごとに価格が決まるJEPXで「0.01円/kWh」という最低水準の数字が出る時間帯もみられた。

 春の気候は過ごしやすく全国的にエアコンを使う機会が減るため電力需要は減る傾向にある。また「節電意識」の浸透で需要が減った可能性もあるかもしれない。

 いずれにしてもJEPXが値下がりしている現在は、ユーザーが市場連動型プランのメリットを享受しやすく、小売事業者は「これだけ安くなる」と訴求しやすい状況といえる。電気代値上げのニュースが世間を騒がせているならなおさらだ。

しろくま電力のプレスリリース。大手電力会社に比べ最大33%電気代が下がるという

 ただし、市場連動型プランは電力供給がひっ迫した場合に電気代が跳ね上がるリスクは残る。

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