ITmedia NEWS >

再び増える「市場連動型」電力プラン 取引価格は大きく下落もリスク説明は十分か?(2/3 ページ)

» 2023年06月15日 14時10分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

電気代が跳ね上がった過去の事例

 2021年の1月には厳しい寒さで電気の需要が増え、LNG(液化天然ガス)不足も手伝ってJEPXの取引価格が高騰。それまで10円/kWh前後で推移していた単価が200円/kWhを超え、利用者と事業者の双方が悲鳴を上げた。

2019年12月から2020年1月にかけてのJEPX電力取引価格推移(出典はテラエナジーのWebサイト)

 22年にはロシアのウクライナ侵攻によってLNG価格が急騰。耐えきれなくなった電力小売事業者で新規申込受付を停止するケースが相次いだ。その後、多くの事業者が撤退を余儀なくされている

2016年から2021年までの年度別JEPX平均単価推移。21年度(赤)は全体的に高かった

 もちろん当初は想定外だった高騰を経験し、JEPXの仕組みや市場連動型プラン自体も改善している。例えば、しろくま電力は電力単価が一定の基準を下回った時に料金を下げずプールしておき、上がった時にそれを還付することで電気代の上下をある程度は抑える仕組みだという。このように市場連動する範囲を限定するなど工夫したプランが最近は多い。

しろくま電力は市場価格が一定ライン(料金高騰還付基準単価)を超えた場合は、あらかじめ積み立てていた金額(料金高騰準備金)から還付する仕組み

 しかし、ユーザーに対するリスク説明は十分に行われているのか。JEPX価格の高騰後、経産省は小売事業者向けのガイドラインといえる「電力の小売営業に関する指針」を改定した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.