　米連邦取引委員会（FTC）は6月21日（現地時間）、米Amazon.comを提訴したと発表した。Amazonが意図的に何百万人もの消費者をだまして「Amazonプライム」に登録させ、簡単にキャンセルできないようにしていると主張し、ワシントン西部地区連邦地方裁判所に将来の違反行為を防ぐための民事罰と永久差止命令を求めた。

FTCが公式ブログに掲載した「同意していないのにプライム料金を取られていますか？　キャンセルしようとしてもできませんか？」というイラスト

　FTCは、Amazonがいわゆる「ダークパターン」を使って消費者の同意なしにプライムへの登録を強要しており、これがFTC法に違反しているとしている。ダークパターンとは、ユーザーを特定の選択に誘導することを意図した欺瞞的な設計技術のことだ。

　FTCのリナ・カーン委員長は発表文で「Amazonは人々をだまし、同意なしにサブスクリプションに加入させ、ユーザーをいら立たせただけでなく、多額の費用を支払わせた」と語った。

　訴状（PDF）によると、プライムを「キャンセルするにはPCでは5回、モバイルでは6回のクリック（タップ）が必要」と説明している。

プライムのキャンセル手続き開始画面

　Amazonは米Reutersなどの多数のメディアに対し、「顧客はプライムを愛しているというのが真実であり、われわれは顧客がプライム会員に登録したりキャンセルしたりしやすいよう明確かつ簡単な設計にしている」という声明文を送った。

　Amazonによると、FTCは訴訟発表前にAmazonに通知しなかったという。「通常通りの関与がなかったことは非常に残念だが、われわれは法廷で正しさを照明することを楽しみにしている」と語った。

　FTCは2021年3月にこの件に関する独禁法調査を開始した。Amazonは同年7月、Amazonが関わる調査や訴訟などからカーン委員長の忌避を申し立てたが却下された。

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