米Amazon傘下のRingは5月31日(現地時間)、ホームセキュリティカメラでユーザーに違法なスパイ行為を行っていたとする米連邦取引委員会(FTC)の申し立てを解決するために580万ドルを支払うことに同意した。
FTCの訴状(PDF)によると、Ringは従業員や請負業者がユーザーの動画を閲覧することを制限せず、ユーザーの同意なしにアルゴリズムのトレーニングに使ったという。
FTCは声明文で、「Ringはプライバシーとセキュリティを無視し、消費者はスパイ行為や嫌がらせにさらされた」とし、「プライバシーより利益を優先することは割に合わないことを明らかにする」ため、Ringを提訴したと語った。
スパイ行為の一例は、2017年の6月から8月にかけて、ある従業員が少なくとも81人の女性ユーザーの「寝室」や「トイレ」の映像を検索し、毎日1時間以上検索結果の動画を見ていたというもの。この行為は被害者の1人である同僚が気づいて上司に報告し、最終的にはこの従業員は解雇された。
上記はAmazonによる買収完了前の事例だが、買収完了後の2019年にも従業員が退社の際に密かにユーザーの動画のコピーを持ち帰ったと内部告発者が証言したという。
Ringは違法に視聴された動画に由来するすべてのデータとアルゴリズムの削除を求められる。また、従業員によるユーザーの動画視聴を禁止する新たなプライバシープログラムの作成も命じられる。
Ringは同日、公式ブログで、FTCの申し立てた問題は「FTCが調査を開始するはるか以前に対応済み」だったとし、「われわれが法律に違反したとするFTCの主張には同意しない」が、問題を解決するために和解すると語った。
Ringは、ユーザーが保存した動画を制御できるようにしており、従業員によるアクセスを制限していると主張した。
Ringの親会社であるAmazonは同日、「Alexa」によるプライバシー侵害訴訟でFTCと米司法省と和解するために2500万ドルの支払いに同意した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR