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ネットでバズった“レトロ扇風機”誕生の舞台裏知らないと損!?業界最前線(2/4 ページ)

» 2023年07月03日 07時00分 公開

約50年前の扇風機を再現

 「きっかけは小型扇風機の開発でした。すでに世の中にある製品とどのように差別化するかを考えるうちに、何か面白いもの1つを作りたいと思ったのです」(折本さん)

 さまざまなアイデアを生み出す中で出てきたのが、子供の頃に使っていた昭和の扇風機の記憶だった。昭和風のレトロなデザインを採用した家電が、他のメーカーから出ていることは知っていた。そこで、あのデザインを扇風機に採用するのはどうかと考えた。この提案を約1年前に社内でしたときは、賛否両論があったという。

 「『扇風機は面白くても売れないと思う』っていう意見もありました。家電製品の開発ではどうしても機能に意識が行きがちで、さらにこれまで当社ではこういった遊び心のある製品をあまり作ってこなかったこともあり、社内の反応にはいろいろなものがありました」(折本さん)

小泉成器の商品事業部 第二商品部 冷暖空調機器 折本健一さん

 さまざまな反応はあったものの開発がスタート。このとき小泉産業時代に作っていた扇風機をベースにしたという。小泉成器はもともと、1989年に小泉産業の照明事業を分離してできた会社。しかし昭和40年代の代物だったため、社内には製品が1台も残っておらず、さらに当時の開発担当者もいないため、結局ゼロベースでの開発になったという。

 「デザインを重視した家電という意味では、当社も理美容家電などでスタイリッシュな製品を手掛けているので経験はあるのですが、今回は方向性が違いました。いまの世の中、扇風機にこんなガードを採用した製品はありませんし、大ぶりのボタンのものもないと思います。逆に、そういった部分にはこだわりました」(折本さん)

 とはいえ、昔の扇風機をそのまま作っても意味はない。そこで本体サイズを小さくて卓上にも設置できるようにサイズダウンした。

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