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迷走するNHKの「ネット放送」 資料からひもとく“あるべき姿”とは小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ)

» 2023年07月07日 15時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 総務省の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」では複数のワーキンググループやタスクフォースが走っており、2022年から23年にかけて議論を積み重ねている。その中でも、ネット時代における公共放送の在り方を巡る議論の中心が、「公共放送ワーキンググループ」だ。

 6月30日に第10回が開催されたが、執筆時点ではまだ資料が上がっておらず、議事録も7回目までしか上がっていないため、最新の議論のゆくえは公開された配布資料からひもとくしかないわけだが、資料だけでもだいぶ迷走しているのが分かる。

 NHKのネット事業はこれまで、やりたければやれば、の「任意業務」であった。それをもっと踏み込んで「必須業務」にすべきか、するならどうあるべきかを議論することになった。だがそれが、かんぽ生命の不適切契約を指摘した番組への圧力を巡り、NHK内部に公共放送としてのガバナンスが働いていないのではないかという話も組み込まれて、論点が見えなくなってきている。

 まあ、関係ない話でもないのだが、そこは切り分けて端の方から順々に詰めていけばいいものを、全部をまな板に上げて刻んでいるもんだから、NHK側の説明と、民放連・日本新聞協会側の質疑がかみ合わず、お互いが「なに? なんの話?」状態になっている。

 ここではこれらの資料をひもときながら、NHKが何をしたいのか、あるいは本来何をすべきなのかを考えてみたい。

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