7月11日、Dropbox Japanは日本のメディア向けに、AI搭載型ユニバーサル検索ツール「Dropbox Dash」の説明会を開催した。すでに6月22日より英語版のベータバージョンが公開されており、リクエストに応じて順番に招待される格好だ。日本でわざわざ説明会を行なったということは、近い将来日本語の対応も行なわれるという事だろう。
Dropboxの調査によれば、ナレッジワーカーが仕事で必要なファイルやコンテンツを探すのに、週に8.8時間も費やしているという。つまりウィークデーのほぼ丸1日ぶんの時間が、単に「探す」という行為だけで消費されていることになる。これはネット上の情報を検索するという話ではない。Dropbox内も含め、パソコン内のローカルストレージであったり、あるいは社内ファイルサーバーであったり、Google DriveやOneDrive、あるいはメール添付など、あちこちのサービスに散らばっている、非公開ファイルを探す場合の話である。
WindowsにしてもMacにしても、OS標準のファイル検索機能と言えば、昔はファイル名でしか探せなかったものである。だが、あとで検索できるようにと、ファイル名を工夫する人はほぼいない。このため自分で作成したドキュメントは、ディレクトリやフォルダなどを作ってきちんと分類しておかないと探せないというのが、昔のパソコンの流儀であった。
MacOSが「Spotlight」という機能を搭載し、ファイルの中身までインデックス化して検索できるようにしたのが、2007年頃の話である。やがてWindowsもこれに続き、今ではファイルの中身のテキストまで読み取って検索できるのは当たり前の機能となった。
Dropboxはご承知のように、コンピュータ内のファイルをクラウドストレージへ自動同期するサービスとしてスタートした。そして2017年にリリースした「Smart Sync」は、ローカルには実ファイルを置かずリンクのようなエイリアスのようなものを残し、クラウドにのみ実ファイルを置くようになった。これによりユーザーは、ネットに繋がっている限り、ローカルストレージ不足を心配する必要がなくなった。
だがこの仕組みは、OSの検索機能と相性が悪い。ローカルドライブをいくら検索してもファイルの中身が存在しないので、なにも見つからないようになった。ユーザーはWeb上のDropboxにアクセスして、そこの検索ツールを使わなければならない。
ただ、DropboxのWeb上の検索ツールもなかなか賢くなっている。例えば「スマートフォン」を検索すると、スマートフォンに言及したテキストやPDFだけでなく、スマートフォンの写真も見つけてくれるようになっている。以前からGoogle PhotoやAmazon Photosでもテキストによる画像検索に対応していたが、Dropboxも2019年にDropbox ProfessionalプランとDropbox Businessプランで対応した。現在筆者はPlusプランユーザーだが、いつのまにか写真検索機能も使えるようになっている。
とはいえ、だ。Dropboxにこうした機能が搭載されていても、実際にはユーザーは他のサービスも併用している。例えば別の事業部、別の会社、別のプロジェクトではOneDriveを使ってファイル共有しているとかいった事情で、他のサービスも使わざるを得ないわけである。
パブリックな情報であれば、Google等のサーチエンジンを使ってWebにあるあらゆるタイプの情報を見つけることができる。一方でパーソナルな領域の情報は、こうしたサーチエンジンを使って一括検索できなかった。
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