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“自前Google”が手に入る? 手持ちファイルもGmailもSlackもNotionも、まるっと横断検索できる生成AIサービスが便利そう小寺信良のIT大作戦(4/4 ページ)

» 2023年07月20日 17時00分 公開
[小寺信良ITmedia]
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本質は「ファイルオペレーションからの解放」

 これまでファイルオペレーションは、自分の整理・管理能力が試される領域であった。デスクトップいっぱいにファイルを置いている人もあるが、本人にはそれがベストな管理方法なのだろう。

 一方で昨今のアプリケーションのスタイルを見てみると、ファイルを明示的にどこに保存するといったスタイルではなくなっているように思う。ユーザーも、どこにファイルがあるかを知る必要はなく、結局はアプリからアクセスできればよいとする考え方になってきている。コンピュータにおいても、スマートフォンのファイルの持ち方に近くなってきているようだ。

今回Dropboxの各種ツールの登場は、ますますファイルがどこにあるかを考えなくて済むようになっていく。「ファイルオペレーションからの解放」という意味も出てくるだろう。

 ただ個人的には、困っているのはそこじゃない、という気もする。1980年代からコンピュータと付き合っていると、ファイルは自分なりの管理ルールがきっちりできており、あれはどこにやったかなという悩みはあまりない。

 それより筆者が一番困っているのが、「連絡ルートがありすぎ問題」である。現在多くのメディアやメーカーさんとお付き合いさせていただいているが、連絡のルートがEメール、SMS、Facebook メッセンジャー、LINE、Slack、Discord、Twitter DMと多岐に渡りすぎており、全部を把握するのが難しくなってきている。

 こうしたものも何かのフロントエンドを1枚上に被せて、すべてのコミュニケーションが一元的に管理できるようにならないだろうか。最新のコミュニケーションが一覧で表示され、それに返信するとそれぞれのサービスへ自動的に返信してくれるようなツールだ。

 先日、あるメーカーさんとメールベースでやりとりしていたところ、途中から担当者が変わって急にSlackで連絡をいただいており、2〜3日気がつかないという事態が起こった。おそらく社内ではSlackがメインなので、先方はそれで連絡するのが一番楽なのだろうが、同じ案件なのに連絡手段が途中から移るということも、もう珍しくなくなるのかもしれない。

 さらに言えば、Twitterの後釜としてMastodon、Bluesky、Threadsといったサービスが乱立状態にある。多くの人はどれかに収斂することを期待しているだろうが、Twitterも死なないままにそれぞれがそれなりに生きている状態になることも考えられる。そうなれば、沢山のコミュニケーションツールをぐるぐる渡り歩いているだけで1日が終わってしまうことになりかねない。

 こうした複数のサービスが1箇所から俯瞰できるツールというのは、必要になるのではないだろうか。さらにはAIによって重要度の重み付けなどもされると、さらによい。こうした一元化ソリューションは、今後パーソナルAIが大きく活躍できる部分ではないだろうか。

 パーソナルAIによって、「人力で巡回」から一刻もはやく解放される日が来ることを期待したい。

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