NTTドコモは7月28日、SNSなどで多く指摘され、夏までの改善を宣言していた通信品質について、改善状況を公開した。新宿、渋谷、池袋、新橋の4駅において通信状況を複数回測定し、通信品質を評価している。
同社のモバイル回線は近年、特に都心部などで通信品質の低下が指摘されており、SNS上でも「データが流れない」「つながりにくい」といった声が多く聞かれるようになっていた。こうした状況を受け、同社は4月にメディア向け説明会を開き、ネットワークのチューニングを「夏までに対策する」と公言していた。
同社は、対策として「瞬速5Gエリアでの、基地局カバーエリアの拡大」「周波数間の分散制御の強化」を挙げていた。前者は、瞬速5Gが展開されていないエリアのトラフィックを少しでも吸収することで改善を図るもの。後者は、建物の奥まで届きやすいプラチナバンド(800MHz帯)に端末が集中し、帯域がひっ迫しやすくなっていたことから、屋外では1.5/1.7/2GHz帯などにシフトする制御を入れたという。さらに、一部エリアでは4G/5G基地局設備の増設も行っている。
こうしたチューニングにより、新宿駅(東口周辺)、渋谷駅(東口、西口、ハチ公口周辺)、池袋駅(東口周辺)、新橋駅(烏森口周辺)にて複数回測定した結果、5G端末で20〜100Mbps以上、4G端末でも10〜30Mbps以上のスループットが確認できたことから「ご不便なくご利用いただけます」としている。
一方で、渋谷駅の山手線・埼京線ホーム中央付近については「時間帯によってはご利用しづらい場合があります」と説明。駅改良工事の影響で、駅ホームに設置していた屋内アンテナ(他キャリアとの共用)を2023年2月から取り外しており、23年9月をめどに再設置工事を実施する予定としている。これにより、渋谷駅ホームの通信品質は改善される見込みだ。
今回の報告は、こうした対策に一定の成果が見られたことから公表されたものだが、同社はあくまでも過渡期的対策としている。引き続き「5G/4G設備増設」「基地局の新設」といった抜本的な改善策についても実施する他、全国横断のプロジェクト体制を構築し、通信品質向上に向けた取り組みを強化するとしている。
なお、測定の対象としてドコモが取り上げた4駅だが、ピックアップの理由として「ユーザーから特に指摘が多かった駅」としている。また、具体的な測定場所や測定した時間帯などの条件について同社に訪ねたものの「開示できない」と回答するにとどまった。
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