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本当に550万円で1LDKの家ができるの? 3Dプリンター住宅の素朴な疑問をメーカーに聞いた知らないと損!?業界最前線(3/5 ページ)

» 2023年09月02日 07時00分 公開

550万円で購入できるserendix50

 二人世帯向け3Dプリンター住宅のserendix50は販売予定価格550万円で、クルマのように購入できる。通常の住宅は、上物だけでも数千万円が当たり前。serendix50には、どこまでの設備や内装が含まれるのだろうか。

愛知県小牧市でのserendix50の施工の様子。安いだけでなく、わずか44時間30分で完成したという早さにも注目だ

 「基本的には、一般的な住宅に含まれる装備はすべて含まれています。そのまま住める状態です。ただし内壁などは打ちっぱなしなので、好きな色に塗装したい場合や、フローリングを貼りたいという場合には、その分は従来の住宅と同様の費用がかかります。これは外壁も同様です」(小間さん)

 現在、serendix50の外壁は積層型3Dプリンターで積み上げられた模様のままとなっている。この外観が気になる人もいるだろう。しかしセレンディクスは、3Dプリンターで造ったことが分かりやすいように、アイコンとしてあえて積層痕を残したままにしているという。とはいえ同社では、すでに外壁を自動的に整える技術開発も行なっている。3Dプリンターで住宅を造るのが当たり前になったときには、積層痕は目立たないデザインに変わっていくと考えられるからだ。

 そして住宅として購入する以上、特に気になるのが耐久性だが、小間さんは一般的な木造住宅より頑丈だと語る。

3Dプリンターが壁となる躯体を積層で成型していく様子。すぐに固まる特殊なコンクリートを採用している

 「serendix50はコンクリート製住宅なので、いわばマンションなどと同じような構造です。例えば木造建築を強く叩くと響いたり、ガラスがビビりますが、serendix50は二層の壁のコンクリート住宅なのでびくともしません。さらに経年変化にも強い。コンクリート造りの多い欧米では中古住宅の価値が下がりにくいいのですが、日本もそういう状況になっていくと考えられます」(小間さん)

 現在serendix50は、鉄筋コンクリート造りとなっており、壁には鉄筋が入っている。しかし実は、建築基準法に準拠するためにあえて鉄筋を入れているのだという。serendix50が採用するコンクリート壁は、十分な強度を持っており、それだけでも躯体を支えられる。今後、3Dプリンターによる住宅造りが進み、強度が認められれば、鉄筋が入らなくなり、さらに安く造れるようになる可能性もあるという。

現在は建築基準法の関係で9本の鉄骨が入っている

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