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本当に550万円で1LDKの家ができるの? 3Dプリンター住宅の素朴な疑問をメーカーに聞いた知らないと損!?業界最前線(2/5 ページ)

» 2023年09月02日 07時00分 公開

コンクリートの2層構造の躯体をロボットで製造

 そもそも一般的な住宅は、建築現場で基礎から躯体を造り、内外装の工事を経て完成する。そのため建築期間は数カ月に及ぶことが多く、昨今は人手不足のためさらに金額がかさむ傾向にある。

セレンディクスの小間裕康代表取締役。電気自動車開発のスタートアップを経て、住宅造りへ参入した

 3Dプリンター住宅は、建築用3Dプリンターで製造した躯体を使う点が特徴だ。通常のコンクリート製の住宅や建造物は、現場に枠組みを造ってそこにコンクリートを流し込んで製造するが、3Dプリンター住宅では、工場などの製造場所にあるロボットがコンクリートを射出成型することで躯体を製造。現場ではそれを組み立てるだけになる。

 「3Dプリンターで住宅を造る一番のポイントは、従来、複数の機能性部材を組み合わせていた壁などを、一体成型で打ち出せる点です。通常の住宅は断熱材など複数の材料を組み合わせる必要がありました。またこれまでのコンクリートは外気温の影響を受けやすく、夏は暑くて冬は寒いただの壁です。しかし3Dプリンターによる製造なら、2層構造にできるので、外気温の影響を受けにくくなります。また単一素材で造れるので大幅なコスト削減にもなります」(小間さん)

 3Dプリンター住宅ではコンクリート自体も通常のものとは異なり、積層構造で自由な形が造れる独自のものを採用している。しかも素早く固まるため、短時間で躯体の製造ができるという。この独自コンクリートを使った3Dプリンターによる躯体製造技術は、特許申請中だという。

ロボットでの躯体の製造シーン。二層構造になっているのが分かる

 セレンディクスでは2023年5月末に、商用初となる「3Dプリンター施工店舗」として、10m2モデルとなる「serendix10」を製造。そして50m2の二人世帯向け3Dプリンター住宅「serendix50」を、まずは6棟限定で販売開始した。すでに問い合わせは多く来ており、エリアや土地取得の目処など、さまざまな条件をもとに2カ月ごとに1棟の選定を行なっていく予定だという。

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