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焼けた肉を盤上で切ってそのまま口の中へ バルミューダのホットプレートが目指した“体験”、開発者に聞く知らないと損!?業界最前線(4/5 ページ)

» 2023年09月23日 07時00分 公開

「極厚」プレートの開発で難航

 目指したのは、ホットプレートというよりは家庭で使える鉄板焼きだ。そうなると次に求められるのが美味しさと、家庭で使えることの両立だ。分厚いプレートを採用すると蓄熱性が増し、食材が美味しく焼ける。しかしその反面、重くなるため使い勝手は悪くなり、さらに予熱に時間がかかってしまう。

 「プレートの材質、厚みの設定には一番苦労しました。クラッド鋼板に絞ったあともアルミとステンレスで、それぞれ異なる厚みのモデルを何種類もつくって肉とプレートの温度を計り、試食しながら理想のプロファイルになるプレートを探しました」(岸本さん)

実際に採用した6.6mmのクラッドプレートの断面。周囲はアルミを溶接して成型している

 業務用の21mmのインゴット(地金)からテストをスタート。鉄やアルミ、銅などの素材、厚さ、表面加工などを変え、合わせると50種類以上のプレートを実際につくって試したと岸本氏は語る。そうして決定したのが、ステンレス、アルミ、ステンレスの3層構造で、6.6mm厚のクラッドプレートだ。200℃までの予熱にかかる時間は約13分で、一般的なホットプレートと比べても大差はない。それでいてしっかりと熱を蓄え、加熱できる。プレート単体の重量は2.8kgなので、女性でも持てる。

 表面は油の馴染みなどを重視し、粗めのバイブレーション研磨(ランダムに円を描きながら研磨する方法)を採用した。表面コーティングがないので包丁を使ったり、金だわしで磨くこともできる。まさに鉄板焼き店の鉄板のように使えるのだ。

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