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新聞紙で炊くタイガーの炊飯器、開発のきっかけは「もったいない」だった 廃棄内釜を災害対策に知らないと損!?業界最前線(3/4 ページ)

» 2023年10月14日 07時00分 公開

新聞紙だけでご飯が炊ける

 そうして完成した「魔法のかまどごはん」。面白いのはその炊飯方法だ。通常、ご飯を炊くには強い火力が必要となる。このため電気炊飯器なら1000Wを超える電力を使い、飯ごう炊飯でも多くの薪を使って強い炎で沸騰させる。

 「魔法のかまどごはん」が使う燃料は、新聞紙だ。全判11枚で5合のご飯が炊けるという。このときのポイントが新聞紙を半分に切ったあと、ねじって棒状にすること。そして約1分半ごとに新聞紙かまどの2つの穴に交互に入れて行く。このことにより、強い火力を手軽に生み出せるという。

かまどに空いた2つの穴にねじった新聞紙を入れていく。穴が2つあるのは新聞紙を完全燃焼させるためだという

 3合のご飯は、全判9枚の新聞紙で炊飯できる。吸水時間が30〜40分、炊飯時間が約20分、蒸らし時間15分で、トータル1時間強で炊ける。電気炊飯器とは異なり、常にそばにいて新聞紙を投入し続ける手間はあるが、直火で手軽にご飯を炊く体験ができるのだ。

 また燃料は新聞紙だけでなく、牛乳パックでも代用できるよう、枚数やタイミングを調整中だという。

 おいしく炊くための工夫もある。「魔法のかまどごはん」では一般的な炊飯器とは異なり、内釜がかまどから飛び出したかまどのような構造となっている。これは内釜の上部を外に出すことで内部の温度に差をつけるため。下部の温度が高く、上部を低くすることで、内釜内部で熱対流が起こりやすくなるのだ。

 実際に「魔法のかまどごはん」で炊いたご飯を試食したが、粒立ちがよく、ハリのあるご飯が炊けていた。アウトドアシーンはもちろんのこと、災害で避難しているときなどに、この温かい炊きたてご飯が食べられたら、非常に嬉しいはずだ。

実際に「魔法のかまどごはん」で炊いたご飯。直火ならではの香ばしさが感じられた

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