バーチャルプロダクションという撮影手法をご存じだろうか。特撮や大河ドラマで使われるようになったことで「聞いたことがある」という読者もいるだろう。
簡単に説明すると、スタジオに超大型スクリーンを設置し、それを背景に撮影する手法。天候や場所に左右されないため、時間やロケの制約があってもスタジオ内で対応できる他、カメラの動きに連動して背景が変化。自然なカットが撮れるという。一体どういう仕組みで実現しているのか、東京・江東区にあるソニーPCLのスタジオ「清澄白河BASE」を見学する機会があったのでその様子を紹介したい。
清澄白河BASEは2022年2月に開設されたスタジオ。中に入るとオフィスビルの5階とは思えない広大な空間が広がっている。聞くに、もともと企業の体育館だったフロアを改築してスタジオにしたものという。都内で広大なフロアを持つオフィスビルは少なく、ソニーPCLの担当者は希望の物件が見つかるまでだいぶ探し回ったのだとか。
スタジオ内には、まさしく“壁”のような巨大LEDウォールがそびえ立つ。この背景用LEDは、横27.36m×縦5.47m、解像度は1万7280×3456ピクセルを誇る“17Kパネル”だ。他にも、天井用に横7m×縦7m(1008×1008ピクセル)、自由な位置に置ける可搬式の横4m×高さ2.85m(1536×960ピクセル)のパネルも用意し、LEDで空間全体を囲んだ撮影ができるようになっている。
このスタジオでは、東映制作の特撮作品「王様戦隊キングオージャー」の他、King Gnu「Stardom」のPV、複数のCM作品などで使われている。キングオージャーでは、東映の自社スタジオと清澄白河BASEで、グリーンバックとバーチャルプロダクションを併用して制作。同スタジオの例ではないが、NHKの大河ドラマ「どうする家康」でもバーチャルプロダクションが使われており、毎週放送のテレビ番組でも活用例が出てきている。
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