CMOSイメージセンサーはローリングシャッター方式といって、信号を1ラインずつ読み出して処理をするのだ。そんなにまったり読み出すわけじゃないけど、高速に動く被写体を撮ると歪んで写ってしまう。
これを一般にローリングシャッター歪みと呼んでいる。
最近は読み出し速度を上げることで歪みを軽減したモデルも登場し、ニコンの「Z 9」や「Z 8」はとうとうメカシャッターを廃し、電子シャッターのみにしてしまった。
ローリングシャッター歪みが大きなカメラと小さなカメラで同じ被写体を撮ったものがあるので見比べて見るべし。
回転するファンを1/4000秒で撮影したものだ。「α7C II」は大きく歪んでいる。Z 8はきれいに見えるけど、よく見ると羽の先が少し歪んでる。
高速に動くものを流し撮りすると背景が歪むし、カメラを固定して高速シャッターで撮ると被写体が歪む。
メカシャッターを使えばこの歪みをほとんど抑えられるので、普通のデジタル一眼はメカシャッターを搭載し、メカシャッターと電子シャッターを切り替えて使えるようになっている。
でも、グローバルシャッターでは原理的にこの歪みが出ないのだ。
さらに、ローリングシャッターでは人工照明下で高速シャッターで撮るとフリッカーが出てしまう(照明は微妙にまたたいてるから)。それらを全部解消し、電子シャッターながら常に歪みがなく、フリッカーも出ないのが全画素同時読み出しが可能なグローバルシャッター方式のセンサーなのだ。
昔からその方式は研究・開発が続けられており、すでに産業用カメラ用のセンサーは実用化されていたのだが、今回、ソニーが初めて民生用のデジタルカメラに採用したのだ。
それもα9の最新モデルである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR