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最強タッグ「OpenAI+Microsoft」を追いかけるAWS 勝機は“選べる自由”にあり(1/5 ページ)

» 2023年12月06日 13時00分 公開
[西田宗千佳ITmedia]

 Amazonのクラウドインフラ部門であるAWSは、11月27日(米国時間)より、年次開発者会議である「re:invent 2023」をラスベガスで開催した。11月28日朝にはAWSのアダム・セリプスキーCEOによる基調講演が行われた。

re:inventは米ラスベガスで開催。会場の黒板には参加しているデベロッパー企業のロゴがびっしり

 2023年のIT業界は完全に「生成AIイヤー」だが、この基調講演でも、もっとも時間を割いて解説されたのは生成AIについて。同社独自の企業向けチャット「Amazon Q」を中心とした発表が行われた。

AWSのアダム・セリプスキーCEO

 生成AIといえば、日本から見るとOpenAIとマイクロソフトが大きくリードしており、AWSやGoogleなど他のクラウドインフラ・プラットフォーマーは出遅れている印象を受けるかもしれない。

 AWSは今回、そのイメージを払拭しようとしている。彼らはどういうところから「生成AIの時代」への対応を強化しようとしているのだろうか。

生成AIを使って「再発明」を狙う

 AWSは、クラウドインフラを通してITシステムの在り方を改善し続け、それを顧客(主に導入企業)の課題解決に結び付けることをビジネスとしている。開発者イベントの名前が「re:invent」(再発明)であるのは、開発者とともに改善を続けることが、同社にとっていかに重要であるかを示している。

 そして、今回の基調講演でセリプスキーCEOは、幾度となく「Reinvent」という単語を強調した。

 データストレージから大規模データベースの構築、その解析に至るまで、AWSが提供している技術・サービスの幅は広い。それぞれをどう組み合わせ、新しい技術で課題を解決していくのか……という点についてフォーカスするために、セリプスキーCEOは改めて「Reinvent」を強調したのだろう。

 そして、現在吹き荒れている生成AIの波も、ある意味で「Reinvent」そのものである。

生成AIでも「Reinvent」(再発明)をアピール

 なぜなら、生成AIに必要とされる技術はこの10年追求されてきた「機械学習」そのものである。そして解決すべき課題自体も、ヘルプデスクやソフト開発の効率化、ビジネスインフォメーションの可視化といった、過去から存在するものが中心であったりする。

 生成AIの導入とは、とりもなおさず「課題をいかにより便利に、今日的な形で解決するか」という話であり、「Reinvent」を強調した今回の基調講演との親和性も高い。なかなかうまい組み立てだ。

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