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400万本売れた「パルワールド」早速プレイした 没頭するほど面白いのに、心の底から“申し訳なさ”を感じた理由(2/4 ページ)

» 2024年01月22日 16時49分 公開
[吉川大貴ITmedia]

で、面白いの? 25時間遊んだ感想

 で、そんなポケットペアの新作・パルワールドが面白いかどうかと言われれば、めちゃくちゃ面白い。じゃなきゃ土日を25時間も潰さない。多種多様なパルを捕まえ、仲間にしてアイテムを作ると、新しいパルを探しに行けるようになる。同じパルでも性格や能力が異なるので、1体捕まえて終わりにならず、より強い個体を探しに行きたくなるのもニクい。

photo さまざまなパルが拠点にいるとにぎやか(筆者撮影)

 強いパルがいると戦闘だけでなく、アイテムの生産も楽になるので、どんどんパルを集めたくなる。アイテムも多種多様で「パルに乗って移動できるようになる」ものから「パルを弾丸にする武器」まで何でもアリだ。手に入れたらつい試したくなってしまう。

 といった具合に、何かをするとまた何かをしたくなる誘導が巧みな上に、その報酬がしっかり用意されており、なかなかよくできていると思った。バグも致命的なものはなく、遭遇しないわけではないが、笑い話で済むものばかりだった。

photo パルに騎乗することもできる(筆者撮影)

 ただしこのシステムはパルワールドオリジナルのものではない。実は過去にヒットした他社のオープンワールドサバイバルゲームに「ARK: Survival Evolved」(以下、ARK)というものがあり、かなりよく似ている。ARKは恐竜を手懐けながら拠点を強化するといったゲームで、世界で累計2000万本以上売れたというヒット作だ。

photo ARK: Survival Evolved(画像はSteamストアページから引用)

 パルワールドの基礎部分は、ARK: Survival Evolvedの恐竜部分をパルに置き換えたもの、といって過言ではない。敵と戦うなどさまざまな行動によってレベルを上げ、テクノロジー一覧からアイテムをアンロックし、新たなアイテムを携えて、モンスターを仲間にしながら新しい要素を楽しみに行く──という体験をそのまま取り入れている。

ARKの「エングラム」画面(左)とパルワールドの「テクノロジー」画面(右、いずれも筆者が撮影)

 ただし、ARKを丸々コピーしているというわけではなく、弱点を補うような調整も見られた。ARKはアクションやUI・UXにいまいちな部分があった。一方で、パルワールドはアクション部分に「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」と、それを大いに参考にしたであろう「原神」などの要素を取り入れることで解決している。

 もともとポケットペアはクラフトピアでブレスオブザワイルドそっくりのアクションを導入しており、そのノウハウを生かしたのであろう。操作性もクラフトピアの時代に比べると良くなっていた。

 そして、恐竜をポケモンそっくりの見た目をしたモンスターに置き換えている──という点も、ある意味ARKの弱点を補っている。実際、パルはカッコいいもの、かわいいものも多く、強そうなパルがいると「仲間にしたい!」と思わせられる。無骨な恐竜より遥かに多くの人の心をつかむだろう。ポケットペアが日本の会社だけあって、最初から日本語で遊べたのも大きい。

 とはいえただ既存ゲームを切り貼りしたというわけでもなく、独自要素もある。ポケットペアお得意のブラックジョーク・露悪要素だ。例えば一部のパルは戦闘時、盾として使える。盾というか身代わりだ。ガッと握って目の前にかざせる。また、パルを捕まえる「パルスフィア」は実は人間のキャラクターにも使える。捕まえた人間はパル同様連れ歩いたり、売ったりできる。

photo 盾にできるパルもいる(筆者撮影)

 悪趣味ではあるが、そもそもクラフトピアの時代にも「モンスターを捕まえて発電させる施設があるが、実はモンスターを捕まえるアイテムで人間も捕まえられるので、何度でもリスポーンするチュートリアル用キャラクターを捕まえて発電させると効率がいい」みたいなテクニックがまかり通っていたので、筆者としてはまぁいつものやつだな、という感じだった。一部のゲーマーに「仕様の隙間を突いて変なことをしたい」欲求があるのは確かなので、そこを考慮しているのだろう。実際、SNS(X)やゲーム実況映えもする。

 というか「モンスターの見た目がポケモンっぽいこと」「その上で、モンスターを働かせたり、食べたり、武器にしたり、売ったりできてしまうこと」が、良くも悪くもこのゲームの最大のキモだと思った。筆者は、この要素を「少なくないゲーマーがポケモンに求めていることを、ポケモンより前に、遠慮のない形でパルワールドがやってしまった」と捉えている。

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