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「Evoto」は課金方法がユニークなポートレート向けAIレタッチソフトだった荻窪圭のデジカメレビュープラス(2/5 ページ)

» 2024年01月31日 18時24分 公開
[荻窪圭ITmedia]

 Photoshopを使えば細かなレタッチはできるが、簡単な補正ならともかく、ブラシを使って細かいところまで修正するには熟練とノウハウが必要で、それでもけっこう手間がかかる。1枚の絵をじっくり仕上げるのならいいが、仕事で撮影する場合なんか、1枚あたりに時間をかけていては大赤字だし、しめ切りに間に合わないのも困る。かといってディテールを疎かにはできない。

 そこに登場するのがAIレタッチソフトのEvotoというわけだ。

 Evotoは、自動的にしわをとったりニキビをとったり生え際の処理をしたりという手作業では面倒な処理を人の代わりに行う。しかも一律でばっと処理しちゃうわけじゃなく、AIを使って被写体の年齢層や性別を判別し、それに応じた処理をしてくれるのだ。

 Evotoによると、主なターゲットは6つのジャンル。

Evotoがターゲットとする6つのマーケット

 大きいのは写真スタジオやブライダルだろう。姪が成人式の前撮りで写真館で撮ったという写真を見せてもらったが、見事にレタッチされてた。

 続いて広告・芸能などレタッチ必須な世界だ。

 6つのジャンルには入ってなかったが、ウィリアム氏のプレゼンで出てきたEC系もピンとくるジャンルだ。ファッション系のECだと着替えながら何パターンも大量に撮影するわけで、それを効率化できたらいい。

有料だけど独特な課金方法

 仕事で写真を扱う人がターゲットなので有料である。

 ただし、ソフト自体は無料で誰でも使える。購入の必要はない。月々の課金もない。ユーザーは、ソフトをダウンロードして起動し、アカウントを作成するだけだ(アカウント作成は必須)。その代わり、Evotoでレタッチした写真を「書き出す」、つまり利用するときに課金される。

 だから読み込んで処理するだけなら完全に無料で、レタッチした写真を書き出すときに初めてコストがかかるわけである。「チャージする」感覚であらかじめチケットを購入しておき、書き出すとそれが減っていくという仕組みだ。

 ただ課金は素材となる画像ごとになされるので、ある写真に対して異なった処理をほどこしてそれぞれ書き出しても、それは「1枚分」の計算になる。だから試行錯誤は十分できる。

 価格は何枚分のチケットを購入するかで変わってくるが、ベーシックなコースだと、1200チケットで1万2800円となっている。

Evotoの価格表。7万5000枚で52万5000円というのはもう完全に大規模な業務用ですな

 1枚あたり10.5円。高いか安いかよりも「1200チケット」からというのに引っかかる人がいるかもしれない。人によってはあっという間に使い切るだろうし、ちょっと使ってみたいという人にはいささか枚数が多く感じる。

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