セゾン情報システムズは2月9日、ファイル転送ソフト「HULFT」のメジャーバージョンアップ版「HULFT10」を発表した。前バージョン「HULFT8」のリリースから約10年ぶりのアップデートになる。同社の顧客は、生成AIへの取り組み状況については二極化しているため、HULFT10によってこれらのニーズを満たしていきたいという。
まずは9日に、AWS上でコンテナ管理を行える「Amazon Elastic Container Service」に対応した「HULFT10 for Container Services」をAWS Marketplaceで発売。HULFTでは初の時間単位の従量課金に対応する他、「リソース・コスト最適化」「外部サービスとシームレスに連携」「セキュアな通信」などを強みに挙げている。
同社のHULFT10のプロダクトマネジャーを務めた樋口義久さんは「2023年に初代HULFTを発売してから30年がたち、システムのクラウド化やISDNの廃止など顧客の利用環境にはさまざまな変化があった」と話す。これらのような通信環境の変化を迎え、それについていけるIT技術者が不足しているという課題があった。
「30年の環境変化の中で、HULFTの価値が提供できていない境界線が生まれている。その境界線を超えていくことを目標に、本来『HULFT9』とナンバリングするところをあえて『10』とした」(樋口さん)
今後の展望として、HULFT10 for Container ServicesではMicrosoft AzureやGoogle Cloudで提供されるコンテナサービスへの対応も検討中という。他にもHULFT10では、従来提供しているWindowsやLinuxのサーバOS、IBMのz/OSに対応した製品もリリースする予定。
同社の常務執行役員営業本部長兼グローバル営業統括部長の石田誠司さんは、昨今の生成AIブームに触れ「HULFTの顧客に生成AIへの取り組み状況を尋ねると、状況は二極化している」と話す。
「大企業ほど慎重である印象で『部分的にやっている』『1回やったが、今は止めている』『セキュリティガバナンスを定めるのが先』などの意見が多い。これらはごもっともな話だなと思う。一方で『生成AIをすでにたくさん使っている』という声もあり、データ分析のプラットフォームの中に生成AIを重要パーツとして忍ばせている企業もある」(石田さん)
例えば同社は23年10月、大規模言語モデル「GPT-4」などのAPIをMicrosoft Azure経由で使えるサービス「Azure OpenAI Service」の導入支援を開始。ビジネスチャット「Slack」で、生成AIを使ったチャットbotを使える環境を整えることを可能とした。このチャットbotを勤怠システムの一部に組み込む企業もすでに存在しているという。
他にもデータ分析部門の現場では、BIツールで分析した結果について、AIチャットでコメントを求める例も。例えば商品Aの売り上げをグラフ化した上で「商品Aの売り上げ実績を教えてください」と、AIチャットに指示を出して、顧客のニーズを言語化する事例もあるとしている。
石田さんは「HULFT10ではこのようなチャットbotともデータ連携も可能」とアピールし、今後も増えていくであろう生成AIへのニーズに逐次対応していく方針を示した。
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