前提として、生成AIツールを使ううえで意識したいことは少なくとも3つある。1つ目はプロンプトを工夫すること(プロンプティング)。2つ目は1度の生成で答えを導き出すのではなく、指示と回答を何度も繰り返す「壁打ち式」の使い方を意識すること。3つ目は、機密情報や生成画像に対する扱い方など、運用ルールを徹底すること──だ。
例えば、テキストに関するプロンプティングとしては、「Zero-Shotプロンプティング」と呼ばれる「いきなり指示・質問をする」方法では、幅広い用途に対応しづらい。先回りして解答例を記したうえで、類似の回答出力を求める「Few-Shotプロンプティング」というアプローチや、計算や思考の流れ事態を回答例として見せておき、より意図した論理性を出力に求める「Chain-of-Thoughtプロンプティング」などの手法を取り入れることを勧めたい。
同様に壁打ち式の使い方は、要するに「日本で2024年4月に予定されている重要な記念日やイベントを10個あげて」→「SNSマーケティングでヒットする企画にはどのようなものがあると思う?」→「◯◯の企画を考えて」→「この企画の問題点は何だと思う?」──のように質問を重ねて議論を深めていくアプローチだ。
もし、あなたが社用PCを管理する責任者の場合、機密情報の扱いについては、入力データが学習に使われなくなるようなオプトアウトの設定を検討すること、そして、エンドユーザーに対してプロンプトの欄に機密情報を入力しないことが重要だと認識してもらうことなどが重要になるはずだ。生成画像の扱いについては、先述の通りである。
そして、Copilotに特有のこととしては、まだ登場から日が浅く、続々と日々のアップデートが重ねられていることがある。既に使い方についての情報は整理されつつあるものの、情報自体の総量が少なかったり、インターネット上で公開されている記事・動画等の情報が最新事情に追いついていないことも多々ある。エンタープライズであれば、情報システム部門の社員が挙動の検証を重ねているかもしれないが、中小企業や個人事業主だと、ITツールの扱いになれたスタッフや事業主自身が先行投資的に、Copilotを試していく必要があるだろう。
執筆時点で試すことはできなかったが、2月28日に公開されたばかりの「Windows 11 Insider Preview Build 26058」には、Copilotにプロンプトで作業を命じると、その手順をユーザーに代わってCopilotが考え、組み立てた手順をRPA機能である「Power Automate Desktop」を通じてWindowsデスクトップ上で実行してくれるようになる「Power Automate via Copilot in Windows」が搭載された。
Microsoftは、例として上記のシーンを挙げているが、RPA機能を使った作業の自動化により、Copilotを使った業務効率化はより一層加速すると考えられる。
本稿で紹介したような基本操作さえ分かっておけば、その後はある種「習うより慣れろ」という側面も大きい。あくまで企業・組織としての運用方針を順守したうえではあるが、積極的に「自身の業務に対して何が便利か」を研究していく姿勢を取っておきたい。
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