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チケット1000枚完売の自作キーボード即売会「キーケット」写真&動画レポート “幻のキーボード”再現も(1/6 ページ)

» 2024年03月03日 22時00分 公開
[井上輝一ITmedia]

 日本初の自作キーボード即売会「キーボードマーケット トーキョー」(略称:キーケット)が、3月2日に東京都立産業貿易センター台東館で開催された。事前販売の入場チケット(1000円)は予定数の1000枚が完売する人気ぶり。果たして会場の様子は? 現地を取材した。

浅草寺近くの展示室にキーボードファンが集結

日本初の自作キーボード即売会「キーボードマーケット トーキョー」(キーケット) お昼ごろの様子

 同イベント初の開催地となった東京都立産業貿易センター台東館は、浅草寺から道路を2つ隔てた場所に位置する。日頃から展示会見本市やイベント、セミナーなどが行われている施設で、その7階の半分を使う形での実施となった。

東京都立産業貿易センター台東館

 7階までは4基のエレベーターか階段でのアクセスとなるため、チケット購入者の1000人が一度に集うと混雑が発生する恐れもあった。そのため、運営事務局はWeb整理券制を採用。会場の混雑度合いに応じて番号順に入場可能にしたところ、大きな事故はなく人流をさばけたという。午前11時開場(閉場午後4時)で、1時間後の正午には400番までの来場者が入場可能になっていた。

 出展サークル数は36サークルで、企業ブースが6、事務局ブースが1、共催の自作キーボード専門ショップ「遊舎工房」ブースが1の計44ブース。

 運営事務局メンバーのぺかそさん(@Pekaso)は「次回はより大きな会場も検討したい」と明かした。

TRONキーボードの中でも設計のみだった“最小配列”を再現

 ここからは筆者が見て回ったブースの一部を写真や動画とともに紹介していく。

 サークル「satromi works」のさとろみさんが出展していたのは、PC向けOS「BTRON」向けのキーボード「TRONキーボード」を自作キーボードで再現した「TL Split Keyboard」シリーズ。

PC向けOS「BTRON」向けのキーボード「TRONキーボード」を自作キーボードで再現した「TL Split Keyboard」シリーズ

 TRONキーボードの特徴の一つは、左右対称や左右分離という、現代の自作キーボードで流行しているスタイルを設計当時の1980年代に先取りしていたことだ。さとろみさんは、自身がBTRONユーザーであり、TRON作者の坂村健教授の研究室に所属していたこともあり「自作キーボードの技術でTRONキーボードを作ってみたい」という思いでTL Split Keyboardシリーズを製作したという。

 新作として今回販売していたのは、自作キーボードキット「minimum TL Split Keyboard 16mm Rev1」。これはTRONキーボードの中でも設計に留まり、実際に製品販売には至らなかった「TRON最小化配列」を基に製作したものだ。オリジナルの配列との違いは、左右それぞれに方向キーを追加していること。他のTRON配列に搭載されている方向キーが便利であることから、TRON最小化配列の本機にも搭載を決めた。

「TRON最小化配列」を基に製作した「minimum TL Split Keyboard 16mm Rev1」

 キー数は72キー(36キー×2)で、TRONキーボードらしく親指打鍵には左右それぞれ4キーを配置。キーピッチが一般的なキーボードの80%になっている他、配列として縦にキーがずれる「カラムスタッガード」を採用。指の移動範囲が最小になるよう設計されている。

 カラムスタッガードも現代の左右分離型自作キーボードでメジャーなスタイルの一つで、一般的なキーボードの横にずれている配置は「ロースタッガード」と呼ばれる。

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