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異なる動画編集ソフト間でタイムラインを共有できる「OTIO」とは何か DaVinci Resolveにも実装小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(2/3 ページ)

» 2024年03月12日 16時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

OTIOは現代のEDLか

 OTIOは現役の編集者にとってもあまりなじみのないものであろう。ただ2024年2月にBlackMagic DesignのDaVinci Resolveがバージョン18.6.5のアップデートでOTIOの読み込みと書き出しに対応した事から、「アレは何だ?」という話になっている。

 OTIOはAPIおよび交換フォーマットとされているが、その考え方はEDLに近く、編集データをテキストベースで記述していく方法を採っている。OTIOファイルをテキストエディタで開くと、プログラムのソースのようなフォーマットで記述されているのが分かる。冒頭にトラックの定義があり、続いて各カットの編集情報が記述されていく。

OTIOの記述式。先頭にタイムラインとトラックが定義されてる

 特徴的なのは、変形などのエフェクト情報も記載される事だろう。一部PinPしたカットがあるが、そこの縮小率および位置情報が記載されている。

縮小率の記述部分。このあとに位置情報が続く

 実際にDaVinci Resolveで新規プロジェクトに読み込んでみると、パス情報も記載されているので、同じパスに素材を入れておけばタイムラインが復元される。PinP情報も継承されている。AFFではこのような縮小・位置情報が記述できないため、単なるビデオインサートとして復元されるのみである。この点からしても、OTIOを使う意義はある。

ファイルの「読み込み…」-「タイムライン」からOTIOファイルが読み込める
OTIOでインポートした例。PinPも再現されている

 一方で読み取れなかったのが、テロップの情報だ。これはフォントの種類を含め多言語対応が必要であり、またテキストを編集ツールの標準機能で入れているのか、あるいはサードパーティー製のプラグインで入れているのかでデータの持ち方が変わってくることから、なかなか互換性を取るのは難しいところだろう。

読み込み時にテロップ情報がないと警告が出る

 またDaVinci Resolveの実装では、OTIOハンドルファイルというフォーマットにも対応している。これはOTIOの編集情報のほか、素材の動画ファイルそのものもまとめて出力できる。従って別マシンの別ツールにエクスポートする場合は、OTIOハンドルファイルで出力し、このファイルごと渡してやれば、素材も一緒に渡す事ができる。

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