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フィルム最大手だったのに「世界初フルデジタルカメラ」を開発していた 富士フイルムのデジカメ史荻窪圭のデジカメレビュープラス(2/4 ページ)

» 2024年03月16日 07時14分 公開
[荻窪圭ITmedia]

 それが「DS-505」。ニコンとの共同開発で(ニコンはE2という名前で発売)、ボディ部分はニコンでマウントもニコンのFマウント。センサーサイズは小さかったが、「縮小光学系」(小さなセンサーで35mm判と同じ画角を得るためにマウントとセンサーの間に光学系を入れたもの)を採用したため、ボディの奥行きが長く、画質もイマイチだったのだっただけど、フィルム全盛期でありながらいち早くデジタルも手がけていたってのが分かるかと思う。

 でも、1994年にアップルが「QuickTake 100」(製造はコダック)をMacintosh用の画像入力装置という位置づけで約11万円で発売、1995年春にはカシオ計算機が回転液晶モニター付きの「QV-10」を、約6万3000円と当時としては破格で発売している。

 ここからコンシューマー向けの液晶モニター搭載デジタルカメラの時代が急激に立ち上がる。

 富士フイルムもその流れに乗って1996年に「DS-7」が登場。記録メディアはスマートメディア。愛称は「CLIP-IT」だった。

 1997年には業務用のハイエンド機「DS-300」を投入。3倍ズームレンズを搭載し、1280×1024ピクセルと100万画素を達成。記録メディアはPCカードのフラッシュメモリ。

左がDS-300とPCカードサイズのメモリカード(10MB)、右がDS-8とスマートメディア(2MB)。どちらも手元に残っていたので並べてみた

 今見ると、記録メディアに歴史を感じますな。

1996年に「DS−8」(DS-7の後継機でボディはほぼ同じ)で撮った東急世田谷線の旧型車両。当時、近くに住んでたのでほぼ定点作例的によく撮ってた
1997年に「DS-300」で撮った東急世田谷線の旧型車両。画質が格段によいのが分かる

 DS-300は、当時としてはバリバリのハイエンド機で、液晶モニターも持たずファインダーは光学ファインダーのみだったのだが、画質的にもワンランク上だったので仕事でも随分活躍してくれた。これは1998年のMacworld SFにおけるスティーブ・ジョブズ氏。フラッシュ撮影はダメと言われていたのでつらかったけど。

1998年1月にDS-300で撮影。背景の「Think Different.」が懐かしい

 さて「CLIP-IT」の時代は短く、1998年には「FinePix」というブランドに切り替わり、画期的なカメラが登場する。縦型デザインで100万画素を超えるメガピクセル機「FinePix 700」である。

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