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「AIに仕事が奪われるかも」時代をどう生き抜く 記者歴20年の45歳が考えるNEWS Weekly Top10(2/2 ページ)

» 2024年03月18日 12時40分 公開
[岡田有花ITmedia]
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 そのころブームになり始めたのがブログだ。個人が記者と同様に発信できる素地が整った。ニュースサイトと同じような記事を公開するブログメディアも次々に登場。一般の「市民記者」が記事を書くメディアも現れるなど「ブログがあれば、企業が運営する商用メディアは成り立たなくなるのでは」と不安になった。

 09年ごろからのTwitterブームも情報流通を激変させた。一次情報がメディアではなくTwitterから発信されることが増え、記者の仕事が置き換えられる脅威を感じた。「メディアごとにトップページから見る」という旧来のニュースサイト閲覧スタイルは、SNSに投稿されたURLから閲覧するという形態に変化した。

 10年ごろから本格的に普及したクラウドソーシングにも驚いた。企業は数千文字の記事を、1本数百円から1000円程度でクラウドワーカーに発注できるようになった。筆者も、クラウドソーシングで記事を集める企業に一時期在籍していたのだが、自分が安くない給料をもらって数時間かけて書いていた記事と同等の納品物が、数百円で手に入ってしまうこともあって戦慄(せんりつ)した。

 こうしたことが起きるたびに「私の仕事、ヤバいな」と思ったし、仕事のやり方も変化してきた。だが「読者が知りたいことを取材し、分かりやすく正確に発信する」という記者業の基本は変わっていない。減るかと思った仕事だが、少しずつ形を変えながらもむしろ、増えている。

理想の仕事って何だろう?

 20年たち、ネットメディアが普及した裏で新聞が不況にあえいでいる。ネット記者は健在だが、今後、AIである程度置き換えることができるようになるのかもしれない。こうした時代に「自分の仕事はこれからどうなるんだろう」と不安になる人は多いと思う。

 そんなとき、この20年間を振り返る。ここまで筆者の仕事を支えてきたのは、伝統的な新聞記者のスキルだ。記者の基本をたたき込んでくれた最初の上司も元新聞記者だった。ネット時代以前のスキルを持って、目の前の仕事を精いっぱい頑張り続けた結果、その先はつながっていった。

 今求められている仕事を精いっぱいやる延長線上に、より良い未来は続いている。自分のキャリアを振り返って実感しているし、悲観的になりそうなときは自分にもそう言い聞かせている。

 とはいえ「AIに奪われないスキルを身に付け、労働で稼ぎ続ける」のは本末転倒ではないだろうか。AIと追いかけっこして、人間が疲れていくのはなんだか変だ。理想は、AIに全ての労働をやってもらって人間が仕事から解放され、のんびり暮らすこと……なのかもしれないなあ。

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