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トコジラミに「バルサン」は効かない、は本当なのか? SNSに流れる話の真偽、メーカーに聞いた(2/2 ページ)

» 2024年03月20日 13時28分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]
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「スーパートコジラミ」や卵には効く?

──「トコジラミの“卵”には殺虫剤はきかず、生き延びてまた増える」という話もありますが、これは事実でしょうか。家庭ではどのような対策が考えられますか?

レック:トコジラミ防除の専門家でも卵には効かないと言われることがあり、弊社でもその可能性はあると考えています。ただし、ふ化直後の幼虫はむしろ薬剤が効きやすいと考えており、トコジラミの潜伏場所にまちぶせ型のスプレー(バルサンまちぶせスプレー)の処理が有効です。この薬剤は効果が持続しますので、薬剤をスプレーしておけば、孵化した幼虫が薬剤に触れて駆除効果が期待できます。

「バルサンまちぶせスプレー」

──昨今は薬剤に耐性を持つ「スーパートコジラミ」が出てきているという話もあります。現行商品で駆除できますか?

レック:スーパートコジラミは、ピレスロイド系の殺虫成分(例えばペルメトリン、フェノトリンなど)に耐性を持ったトコジラミになります。ですので、対策としてはピレスロイド系以外の成分を使用することが基本となります。

 ピレスロイド系以外の成分(プロポクスル、メトキサジアゾンなど)を配合した殺虫剤であれば、スーパートコジラミに対しても駆除効果が期待できます。「バルサンまちぶせスプレー」(有効成分プロポクスル)だけを使って全く被害がなくなったという事例もあります。

 繰り返しになりますが、トコジラミは駆除するのがとても難しい害虫です。例えば、室内の潜伏場所の他、持ち込まれた荷物の中に生存個体がいる場合もあります。これさえやっておけば大丈夫、という考え方は、残念ながらできません。

──これまでの質問を踏まえ、正しいバルサンの選び方、使い方を教えてください

レック:弊社製品ですと、非ピレスロイド剤が配合されている「バルサンまちぶせスプレー」(有効成分プロポクスル)と「くん煙剤」──例えば「ラクラクバルサン水」や「バルサンプロEX 霧タイプ」(有効成分はメトキサジアゾン、ピレスロイド)を選択して頂き、併用することをお勧めします。

「ラクラクバルサン水」と「バルサンまちぶせスプレー」の併用がおすすめ

 トコジラミ被害が疑われる場合は、部屋をできるだけ整理した上で、人が長時間居続ける場所の近辺(例えばベットなどの寝具周り、ソファ周り、椅子など)や潜伏場所になりそうなすき間(畳と畳の隙間、壁紙の継ぎ目、カーテンの折り目、カーペットの下、家具と壁の間、壁がけ時計や額縁の裏など)、潜伏している場所(血糞が認められる)などに重点的に薬剤を散布して頂いた後、くん煙剤で部屋中を処理して頂くことが効果的かと思います。

──家庭用の商品だけで対応できない(駆除業者を頼んだ方が良い)場面というのはありますか?

レック:トコジラミ対策が正確にできてない(殺虫剤を使用しても毎晩、複数カ所を刺される)、または大量に発生していると推定される状況(血糞などが壁紙の隅など目につく場所に複数認められる)や、トコジラミの生息場所が全く解らない場合は、ペストコントロール業者(有害な生物の活動を、害にならないレベルまで制御する業者)に依頼して、生活空間全体を徹底的に駆除していただく方がよいと思います。

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