自宅充電が中心の筆者ですが、長距離旅行で必ず利用するのが、Tesla独自の充電インフラ「スーパーチャージャー」です。
公共の急速充電器のように、充電器側の認証操作を行うことなく、プラグインするだけで充電が開始され、車両にひも付けられたクレジットカードで決済されます。この充電体験こそがTeslaの魅力の一角を担っており、愛すべき部分でもあります。このような上質な充電体験は、クルマとしてのEVの魅力を左右する重要な要素に他なりません。
しかし、エネルギーコストの上昇に伴い、スーパーチャージャーにおける充電料金の値上げが2022年あたりから相次いでいます。充電インフラの運営は慈善事業ではないので、それはそれで致し方ないとは思いますが、Teslaは予告なく値上げします。筆者はいつもSNSの投稿で値上げを知ります。
例えば、2021年11月の時点で、大津スーパーチャージャーを利用した際は、69kWhをチャージして1692円でした。単純計算で24.52円/kWhです。この時点では、毎分課金する形式で出力に対して18円/kWh(60kW以下)、36円/kWh(60kW以上) という、2段階料金制でした。
その後、料金体系が4段階制に細分化され、その翌年の11月、同じく大津スーパーチャージャーで55kWhをチャージして2479円と単純計算で45円/kWhとなりました。
その後も段階的な値上げが実施され、4段階制は変わらないものの、段階単価が引き上げられ、走行条件によっては、ハイブリッド車よりコスト高になりました。
現時点では毎分、45円(60kW以下)、95円(60〜100kW)、150円(100〜180kW)、245円(180〜250kW)と、2021年11月の時点と比較すると大幅に値上げされています。この直近の料金体系で、過去の出力カーブを当てはめて、44kWh(約260km)を充電した場合、約3400円の請求となり、77円/kWh以上と驚愕の高騰ぶりです。
以前は、高速道路をいったん降りて最寄りのスーパーチャージャーで充電し、再度高速道路に戻った場合、時間的浪費や初乗り料金が発生することを差し引いても、スーパーチャージャーを利用するメリットがありましたが、この分だと、高速道路のサービスエリアに設置された公共の充電器を利用した方が総合的に有利に運用できる場面も多くなりそうです。
実際、サービスエリアにおいて日本最大級の充電プロバイダーであるe-Mobility Powerの充電器をビジター料金で利用したとします。30分間で20kWh(約120km)を充電した場合、1650円となり82.5円/kWhです。条件にもよりますが、時間的なメリットや初乗り料金を考慮すると、スーパーチャージャーの優位性は大きく後退します。
ただ、自宅で充電するより安価な料金設定だった以前の状態が特別であって、現在の料金体系こそが正常化した姿なのかもしれません。とはいえ、値上げする際は、メール等で事前に告知していただきたいものです。
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