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ブーム来る? 「和文バリアブルフォント」の世界小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ)

» 2024年04月23日 18時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 4月10日はフォントの日なんだそうである。フォー(4)とトウ(10)でフォントなのだろうが、マジか。

「フォントの日」は、アドビが2017年に登録した記念日で、日本記念日協会にて制定された

 そんな事もあり、4月10日は新しいフォントがいくつか発表された。今年の目玉はなんといっても「和文バリアブルフォント」であろう。

 われわれが普段使用するフォントは、同じデザインでも細いもの、太いもの、横が詰まったものなどがそれぞれ個別のフォントとして提供され、1つのファミリーを形成している。

 一方バリアブルフォントは、そうした文字の変形を1つのフォントで提供していこうという比較的最近のフォントフォーマットで、米Adobe/米Apple/米Google/米Microsoftが共同開発した。フォントパラメータとして、太さや字幅がバリアブルで変更できるため、従来はファミリーで提供しなければならなかったフォントデータが、1つのフォントで小さく提供できるというメリットがある。

 もちろんデザインする側も、細いか太いかの2択ではなく「中間」も選べるし、縦長、横長も選べるので、表現の幅が広がるわけである。ただこれまでバリアブルフォントは英文フォントが中心で、和文フォントは極端に少なかった。和文フォントでは、少なくともJIS規格で定められた6879文字をデザインしなければならず、開発に時間がかかる。

 そんな和文バリアブルフォントだが、モリサワから「DriveFlux」、Adobeから「百千鳥(ももちどり)」の2書体が発表された。とはいえ現在はまだ開発発表であり、実際の提供はもう少し後になる。

 Adobeでは同日、記者発表会を開催し、「百千鳥」の詳細が明かされた。バリアブルフォントで何ができるのか、従来のフォントでは何が問題だったのか、資料をもとに探ってみたい。

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