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大阪市教委、学校端末の契約金で未払い発覚 NECに7億円支払わず 「事務業務が煩雑化、対応できなかった」

» 2024年04月25日 13時13分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 大阪市教育委員会は4月24日、NECに委託していた学校向けネットワークの運用保守業務に関して、約2年間契約金が未払いだったと発表した。未払い金の総計は7億1321万3000円。大阪市教委は未払いだった理由について、各種事務業務が煩雑化してしまったことで対応に手が回らなかったなどと説明している。

大阪市教委、学校端末の契約金7億円の未払い発覚

 大阪市では2022年3月から「大阪市教育情報ネットワーク」を稼働し、児童や生徒、教職員が利用するICT機器向けのネットワーク環境を提供。その運用保守業務をNEC関西支社に委託している。大阪市とNECが契約を結んだのは19年で、契約当初は約5万台の学習用端末を運用保守予定としていたが、22年のネットワーク運用開始時には端末数が約18万台と大幅に増加していた。

 本来であれば、ネットワーク運用開始時までに端末増加による追加契約をすべきだったが、大阪市教育委は「運用保守開始時期と端末切り替え(設定変更)時期が重なり、各種事務が煩雑化したことから、契約手続きができていなかった」と説明している。

 NECからも22年3月の運用開始前やその後に、追加した業務についての問い合わせがあったという。しかし、大阪市教育委は「ネットワークが不安定で、学校現場で端末の通信がつながりづらい問題や、受託業者の設定ミスで一部機能が使用できないなどの障害が発生し、ネットワークの安定稼働に向けた対応を最優先に取り組んでいた」ことを理由に、NEC側からの問い合わせに対応できなかったと述べている。

 その後もネットワークの障害が発生したため、22年9月にはNECに措置請求を実施。この対応のめどが立った23年8月、大阪市教育委は、NECから追加契約や契約変更の確認、支払いを求める文書を受け取った。大阪市教育委はこの文書について、弁護士に相談したところ「費用は支払うべきである」などの意見を受けた他、第三者のコンサルタント事業者からも「請求金額は妥当」との意見を受けたため、契約金の支払いを決めたとしている。

 大阪市教育委は「このような事案を発生させたことにつきまして、関係者の皆さまに多大なご迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げます」と謝罪。再発防止策として、契約事務に関するマニュアルなどの周知・徹底に努める他、委託先とより連携すると説明。「課題や懸案事項などの管理表を活用し、共有して進捗管理を行う」としている。

大阪市の発表全文

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