先週は「ニコニコ動画」が大規模なサイバー攻撃を受けてサービスを停止したことが大きなトピックだった。その規模は想像を絶するものだった。
ランサムウェアを含む攻撃で、標的になったのはKAKOKAWAグループサーバ内のクラウドだ。「相当数の仮想マシンが暗号化」され、ニコニコを含むグループのサービス全般が停止した。
その後もサイバー攻撃が繰り返され、遠隔でサーバをシャットダウンした後も、第三者がさらに遠隔からサーバを起動させて感染拡大を図るといった行動がみられたため「サーバの電源ケーブルや通信ケーブルを物理的に抜線し封鎖」したという。
サイバー攻撃への防御を、ケーブルの抜線という物理で行わざるを得ない事態は極めて珍しく「可能性があるとは知っていたが、実際に行われたのは初めて聞いた」「悪夢だ」などという声が出ている。
KADOKAWAグループとニコニコが被った被害はあまりに大きく、ニコニコは「システムの再構築」を決断。復旧にはかなりの時間がかかりそうだ。
上場企業がサイバー攻撃でサービス停止など深刻な事態に追い込まれた際の情報発信は、適時開示やプレスリリースなど、公式ルートに限定されることが多い。情報源を一本化した方が混乱しないのは事実だが、その情報は四角四面で“人間味”が失われがちだ。
今回のサイバー攻撃後、ドワンゴでニコニコ事業を統括している栗田穣崇さんは、個人のXでも、自らの言葉で情報を発信しながら、ユーザーからの応援にも反応し続けている。
「サイバー攻撃に負けたくない」と、毎月ニコニコ生放送で配信していた「月刊ニコニコインフォ」をYouTubeで配信。最大1万2000人が同時視聴し、応援コメントを投稿。番組の最後は、栗田さんからの呼びかけで「ニコニコ動画」の“弾幕”が動画を覆った。
この様子を見て、ニコニコは無機質なプラットフォームではなく、運営が顔を見せ、ユーザーがコミュニケーションを重ねながら場を作っていくコミュニティーだと改めて感じた。
今も「#がんばれニコニコ運営」「#がんばれニコニコ動画」などのハッシュタグが盛り上がっており、ユーザーが関連動画やイラストなどをアップしている。
ニコニコの復活がいつになるかまだ分からないが、復活した際には、運営とユーザーが一体になった大きな“祭り”が起きるだろう。その時を楽しみに待ちたい。
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