今年9月で創刊100周年を迎える子供向け科学雑誌「子供の科学」──誠文堂新光社は6月19日、過去100年分のバックナンバーを電子書籍として復刻する方針を明らかにした。ただし課題も多く、作業が完了する時期については「まだみえない」としている。
電子復刻は、大日本印刷傘下の丸善雄松堂(東京都港区)、イースト(東京都渋谷区)と共同で取り組んでいる事業。企画のスタートから約1年をかけ、創刊から10年分(1924〜1934年)にあたる119冊を電子化した。
4月末にはKindleストアで10年分の電子復刻版を発売。1冊980円で「一流の技術者や専門家の解説を通して、当時の最新技術を垣間見ることができる貴重な記録となっている」。
子供の科学が創刊された1924年(大正13年)は、関東大震災の翌年。復興作業が進む東京で、次々と登場する最新技術を豊富な写真と詳細な解説で紹介した。例えば1926年9月号の特集は「エレベーターはどういふ仕かけで動くか?」。1927年2月号では「猛火と戦ふ」と題して火災報知器や消防車を取り上げた。
バックナンバーの復刻作業は現在も続いているが、課題も多いという。例えば著者の許諾を得ようにも刊行された時期によっては著者の生存確認から始めなければならない。「100年分を目指して取り組んでいるが、都度出てくる課題を解決しながら作業を進めている段階。今はまだ作業が終わる時期はみえない」としている。
7月12日には日本電子出版協会主催のオンラインセミナーで、「子供の科学」編集長の土舘建太郎さんが今回の取り組みと、それをビジネスにつなげる試みについて語る予定だ。配信はYouTube LiveもしくはZoom。事前に申し込めば誰でも無料で視聴できる。
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