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ニッチだが奥深い「映像伝送」の歴史 アナログからデジタルまでの変遷を総ざらい小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(1/4 ページ)

» 2024年06月20日 16時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 プロフェッショナルから業務にかけての映像伝送方法は、アナログからデジタル、そしてIPと進化してきたが、それらは世代によって入れ替わっていったわけではなく、現場によっては今のなお混在した状態にある。特に文教では今でもアナログ機材が稼働しているケースもあり、若い人にとっては見たこともない端子に面食らう事もあるだろう。

 今回は永久保存版、というほどではないが、アナログからデジタルまでの映像伝送の方式を振り返りながら、その発展の過程をまとめてみたい。なお筆者の専門はポストプロダクションであるため、カメラからの直接伝送ではなく、主にVTR等の記録装置からの伝送システムの例を中心にお話ししていく。

アナログ伝送時代

 VTRの歴史をさかのぼると、最初は2インチVTRということになるわけだが、当時の伝送方式はアナログ・コンポジットしかない。

放送局内で稼働中のAmpex 2インチTVR(資料提供:アンペックス・ジャパン株式会社)

 アナログコンポジットは、プラス・マイナスを配した1本のケーブルで伝送できるのがメリットであり、この「映像1つに1本ケーブル」は、のちの映像伝送の基準となった。現在もなお使われているBNCタイプのコネクターはいつ頃から使用されているのか、はっきりした資料はない。

 1970年にAmpexが初のコンシューマー向けビデオレコーダー「InstaVideo」を発売したが、カメラとの接続はもっと大型の端子が使用されていたようだ。

世界初のコンシューマ向けビデオレコーダAmpex「InstaVideo」(資料提供:株式会社東芝)
InstaVideoの背面。大型のアナログコンポジット端子が見える(資料提供:株式会社東芝)

 あいにく筆者はこの形状の端子を実際に使ったことがなく、名称が分からないが、筆者よりも年長の技術者ならご存じだろう。

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