先週のアクセストップは、スーパーコンピュータ「京(けい)」を取り上げたNHK「新プロジェクトX〜挑戦者たち〜」に関する記事だった。京の開発責任者を務めた技術者・井上愛一郎さんがまったく紹介されなかったことについて、ネット上の関係者の反応をまとめ、NHK、富士通に取材した内容だ。
筆者は「新プロジェクトX」に期待していたのだが、初回の「東京スカイツリー 天空の大工事」を見て違和感を覚えた。「困難に挑戦した会社員たち」の物語を作りたいあまり、個人にフォーカスしすぎて会社全体やチームとしての姿勢が見えにくく、泥臭いビジネスの視点や駆け引きも無視されていると感じたからだ。
登場した人々の努力には頭が下がる。ただ、完遂からまだ間がなく、関係者が多岐にわたる複雑なプロジェクトについて、ドラマチックに盛り上げるだけでは、今の時代にはなかなか説得力を持たないように感じた。
アクセス6位には、先週のこの連載(ITmedia NEWS Weekly AccessTop10)の記事が入った。
Photoshopなど米Adobeのサブスクサービスのうち、「年間プランの月々払い」の解約手数料が分かりにくいなどとして、米司法省がAdobeを連邦地裁に提訴したという記事に関するコラムだ。
Adobeはサブスクリプションサービス契約の際に「年間プランの月々払い」を勧めてくる。これを中途解約しようとすると、莫大な手数料(残存契約期間の料金の50%)が一括で請求されるのだが、この手数料は契約時には明示されない。この問題は、日本のユーザーからも大きな共感を得た。
Xで記事の関連ポストを見ていると、Adobeの料金体系のもう一つの問題を指摘する人が多かった。「プランを解約しようとすると、大幅な割引きがオファーが出る」ことだ。
Adobeのサブスクサービスのユーザーは、管理ページから解約申請し、引き留めを無視して手続きを進めていくと、通常の半額で1年間利用できる割安プランが提示される。これを知っている人は、定期的に解約申請することでリーズナブルに利用し続けられるのだが、知らない人は、相対的に損をしていることになる。
テクニックを知っている人だけにお得に使わせ、知らない人からは高額な利用料を取るというAdobeのプラン設計は、ビジネスとしては正解なのかもしれない。だが、ユーザーの不信感は高まっている。
Adobeは料金や契約をもっと分かりやすく、公平にすべきだろう。米国での訴訟が、それにつながることを願っている。
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