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Google、AIによる排出量増加で2030年カーボンフリー目標達成に暗雲

» 2024年07月03日 09時20分 公開
[ITmedia]

 米Googleは7月2日(現地時間)、2024年の環境報告書(PDF)を公開した。これによると、同社が掲げる2030年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという目標の達成が、AIの急速な発展と需要増加で困難に直面しているという。

 この報告書によると、2023年の温室効果ガス排出量は2019年と比較して48%増加した。この増加は主に、データセンターのエネルギー消費量とサプライチェーン排出量の増加が原因であり、特にAIの進歩と需要の高まりがその背景にあると説明している。

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 Googleはまた、2023年のデータセンターの総電力消費量が17%増加したことも報告しており、AIの進化に伴い、この傾向は今後も続くと予想している。

 同社はAI時代の到来に備えてTPUなどの効率的なインフラストラクチャを構築しており、Googleのデータセンターは、一般的な企業のデータセンターと比べて約1.8倍のエネルギー効率を実現しているという。

 Googleは、AIモデルの最適化、効率的なインフラの構築、排出量削減という3つの主要戦略によって、AIの環境負荷の管理に取り組んでいるが、AIの普及率、環境負荷を軽減する技術の進歩、技術革新と効率化の速度など、多くの不確定要素が存在するため、目標達成には「重大な不確実性」があると認めている。

 米Microsoftも5月に公開した2024年の環境持続可能性レポートで、主にデータセンターの建設で2020年以降、総炭素排出量が約30%増加したと報告した。

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