まず1つ目だが雨天では使えない。クーリュック2は、ペルチェ素子ユニットを内蔵している土台部分と、荷物が入る収納部分をファスナーで接続し、1つのリュックに仕上げている。土台部分はペルチェ素子の熱を逃がすため、先ほどの通りメッシュ素材を採用しているが、これは水が中に入りやすくなることも意味する。ここは給電に使うモバイルバッテリーも収納するため、ペルチェ素子やモバイルバッテリーの故障を考えると「濡れ」は絶対に避けたい。8月になっても“ゲリラ豪雨”があるので油断はできないが、基本晴天専用と考えてもらって良い。
2つ目は収納の少なさだ。「クーリュック2」と書かれてあるとおり、このシリーズには初代モデルが存在するが、こちらは「リュック風ベスト」で、ほとんど収納できる部分がなかった。それと比べると後継機は「ちゃんとリュックとして使える」ようになっている。
とはいえ、リュックとしてみるとやはり収納スペースの少なさが気になる。特に収納部分のマチが狭く、厚みのあるものは基本入れられない。収納部分の素材が柔らかいので、その包容力を生かして無理のない範囲で詰め込む感じになる。最低限の仕事道具+夏装備でいろいろ試行錯誤した結果、ノートPC、コンパクトカメラ、充電器・モバイルバッテリー、傘、汗拭きシート、財布、飲料水ならギリギリだが詰め込むことができた。もし空きスペースを確保したい場合は、カメラをスマートフォンで代用したり財布をより薄型なものにするなどいくつか方法もある。
ノートPCはフットプリント的に12インチクラスなら余裕、13インチだとギリギリ入れることができる。筆者が使っているDELLのInspironは16:9パネルでピッタリだったが、16:10クラスになってくると入るかは微妙なところ。なお、14インチのMacBook Proはダメだった。
ただし、収納部分にPCを入れると他の物が一切入らなくなる。そこで活用したのが土台部分のポケットだった。本来ここはモバイルバッテリーを入れるためのものだが、後述する点で別の場所に設置している。PCと冷却ファンの吸気口が当たってしまうが、クーリュック2の冷却ファンは横からも空気を取り込める構造で特に問題なく機能した(PCの天板とユニットが接触するので何か間に挟むかケースに入れられるとベスト)。イレギュラーな使い方である点はご留意いただきたいが、このポケットのおかげで収納部分がPCに占拠されず、写真の通り他の物を入れることができた。
なお、薄すぎるマチだが、おそらく土台部分にメッシュを採用したことと関係があるように思う。というのも構造上、収納部分の荷重も全てメッシュが支えるようになっており、もしマチを広げて容量を増やしてしまうと、メッシュと縫製がさらに引っ張られることになる。ここは想像だが、強度が確保できる容量に抑えるべく、あえて薄いマチを採用したのかもしれない。
3つ目はモバイルバッテリー起因の問題で、リュックスペーサーと同じく、電源が切れたモバイルバッテリーをコントローラーから起こすことができない。こちらも、リュックから一度モバイルバッテリーを取り出して電源を入れるか、スリープする前にペルチェ素子ユニットの電源を入れるしかない。
ところが、ペルチェ素子ユニットの下(リュックの底面)に、ちょうどモバイルバッテリーがすっぽり入るスペースがある。ここに、電源ボタンを外側にしたモバイルバッテリーを配置することで、背負ったまま後ろに手を回してモバイルバッテリーの電源を入れられる。本来のモバイルバッテリー用ポケットを利用するのが一番なのだが、外から電源ボタンに届かないため「運用でカバー」させてもらった。
リュックのボトム部分にモバイルバッテリーがすっぽり入る空間がある。電源ボタンを外に向けた状態でここに忍ばせておけば、スリープ中のモバイルバッテリーであっても外からオンにすることができる(※サンコーはポケットの使用を推奨しているためご注意を)4つ目は洗えない点だ。いくらペルチェで暑さが和らぐとはいえ汗は普通にかくので、背中のパッドにも汗が染み込む。衛生的にも定期的に洗いたいところだが、取扱説明書によると水に浸けたり丸洗いしたりは禁止となっている。なので、パッド部分の汗は濡れタオルなどで拭くぐらいしかできない。後継モデルがあるのなら、ペルチェ素子ユニットを取り外せるなどメンテナンス性の改善を期待したい。
と、いくつか不満点も書いたが、この世に万人が満足する完璧な商品なんてのは幻想に近いので、大体どこか折り合いを付けながら使うもの。クーリュック2の「犠牲」が納得できるなら大変便利なグッズだと思う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR